アジアンカンフージェネレーション「ファンクラブ」と、12月の夜を歩く
木谷日向子
12月12日 夜散歩
アジカンの曲を聴きながら夜散歩をしていた。
アジカン好きと言っておきながら、知っている曲はタイアップ曲ばかりだったので、ちゃんとアルバムを聴いてみようと思い、「ファンクラブ」という中村佑介さんがモノクロのジャケットを描いたアルバムを聴いた。うさぎを抱っこした女の子が可愛い。
気になったアーティストのアルバムを、活動初期から順番に聴いてみよう! というキャンペーンを自分の中で行っていて、Chara、スガシカオ、レミオロメン、ときて、アジカンでもおこなう。
冒頭の曲がまだしっくりこなかった。体が温まってきてないのかもしれないと思い、別のアーティストを1曲聴いてから、と考え、YaffleとSkaaiの「さなぎ」という映画「ブルーピリオド」のサウンドトラックのひとつである曲が前から気に入っていたので、それを聴いてから、また「ファンクラブ」に戻る。
行くぞ、という気持ちで「暗号のワルツ」の再生ボタンを押した。
さっきよりも、気持ちがアジカンに戻ってきて、だんだん楽しくなってくる。
「路地裏のうさぎ」までやってくると、もうノリノリになっていた。
ギターのリフと、感情的になりすぎない均一な歌声と、文学的な歌詞が好き。
いくつかお気に入りの曲に入れておく。
今夜の散歩は、いつもの公園じゃなくて、住宅街を歩くことにして、決めた場所まで行って来た道を引き返す。
サカナクションの山口一郎さんが、アルバム丸々一つ分集中して聴きながら歩くといい、と以前ご自身のYouTubeで他のファンの質問にこたえる際に仰っていたので、決めたコースを歩き切ると、ちょうどアルバムが終わるころで、最後の曲「タイトロープ」が流れてきた。
今夜は、いやに寒い。空をふいに見上げる。驚くほど月や星が綺麗だった。漫画「チ。」を思い出す。
私は、なんで天にこんなに綺麗なものがあるのに、お金をかけてうつくしいものを買おうとするのだろう。
スマートフォンで空の写真を撮る。びっくりするくらい綺麗な写真が撮れた。夜空の写真を撮るなんて、そういえば何年ぶりだろう。雲や家を映したくなくて、空だけでこの四角を埋めたくて、より天へ傾いて写真を撮る。
私のスマートフォンには、うっすらと透明な灰青色の星空だけが映っていた。スマートフォンの夜景モードを使えば、こんなに綺麗に星空が切り取れるんだ。便利な世の中になったもんだ。
家まであと少し距離がある。1散歩に1アルバムと決めていたので、アジカンは今日はもう聴かない。あと少し何を聴こう。ふと聴きたくなったのは、Bump of Chickenの「ガラスのブルース」だった。アジカンからバンプに変えて、踊るように曲を聴いて、今日の夜散歩はおわり。
12月の寒い夜に、また星を見に、外に出て天を仰ごう。
アジアンカンフージェネレーション「ファンクラブ」と、12月の夜を歩く 木谷日向子 @komobota705
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