第2話 出会い

「ん…ん?」

光がの眩しさが止み、瞼を開けるとそこはだだっ広い草原…。つまり、何も無い。

あいつ詐欺師か?と思ったが、別世界へ来ていることは確か。

取り敢えず、何かないかとポケットを漁っていると、一つの違和感に気がついた。

「…あれ?俺、こんな格好だったっけ?」

服装が制服から如何にも冒険者らしい格好へと変わっていた。

あの謎空間にいた時はまだ制服だったはずと思っていると、右ポケットにまたもや違和感があった。

取り出してみると袋。中には金色に輝くこの世界の通過であろうものが入っていた。

あともう一つ、手紙らしきものが袋の中に入っていた。

早速読もうと手紙を開く。


【愛する我が子、エルドへ

これから、お主がいる世界の説明をする。

先ず、そちらの世界では魔法、魔物、悪魔、天使、そして神がおる。

魔法は、火、水、風、土、光、闇、雷などがある。

基本、お主が使えるのは火属性の魔法。あと空間魔法。

火の神であるわしの贈り物じゃ。

そして、もう一度お主の命を確認する。

お主がこの世界で成すべきことはただ一つ。

この世界の大地の神テルスを、愛の神アフロディテ、戦の神アレースから救うこと。

救うということに制限は無い。

愛と戦の神を殺す。大地の神を殺すのもよし。

それがお主らの救いとするならば、わしらは何も言わん。

さぁ、今から始まるは波乱万丈の日々。それにお主らは耐えられるかのぉ。

はたまた、今までの子のように、失敗をするか…。

お主らの良き結果を期待しておる。

お主の神、スタタ・マテルより】


「…大地の神…テルス。」

手紙にはそう書いてあった。

大地の神、テルス。

なぜその人を愛と戦の神から守らなければならないのか、そのことについては何も書かれていなかった。

本人から聞けと?

けど、個々で止まっていても何もならないため、紙をポケットの中に入れ行先はないが歩いてみる。

運が良かったら、村などを見つけることが出来るかもしれない。はたまた、エルドと同じような転生者と巡り会えるかもしれない。

そう思いながら、真っ直ぐに進む。今後のことについて考えながら。


数分…いや、数時間歩いてやっと、小さな村を見つけた。

歩きすぎたためすっかり疲れたエルドは重たい足を一生懸命持ち上げ、村へと入る。

「つ、疲れ…たぁ…。」

村へ入ったエルドは地面にしゃがみこみ肩で息をする。

引きこもりのエルドには、数時間歩くことは地獄も同然。

その為、この世界でやって行けるような奴では無い。

「はぁ…はぁ…水、水はどこだ…!」

水を持っていないため喉が乾きっぱなしのエルドは辺りに川がないか探す。

だが、ここは村であり、辺りには川などない。

「はぁ…!もう、無理…。」

ドサッと地面に倒れるエルドを村人達は不思議な目で見る。

「あの、大丈夫…ですか?」

「うぇ?」

倒れていたエルドの頭上から女性の人の声が聞こえた。

顔を上げると、水色の髪をした可憐な女性。

目はセレストブルーの瞳を宿し、唇はぷっくりとしているため、誰が見ようと高嶺の花。

だが、引きこもり+女に興味がないエルドにとっては、「女の人だ」程度の感想しかない。

「あ、ありがとうございます。」

手を差し伸べてくれた女性の手を握り立ち上がる。

そのとき、エルドにある直感を感じた。

この人、転生者だな。

見た目や格好が他の人たちより派手…。異世界あるあるだ。

だがここで外すとただの変人。どうするエルド。

「あの…。」

「え?はい!」

聞こうか迷っているエルドに、目の前の女性が声をかけた。

セレストブルーの瞳を瞬かせ、エルドの瞳を覗く。

緊張で固まるエルドは、次の彼女の言葉ではっとする。

「あの…君、もしかしてだけど…」

"転生者?"

「…え?」

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