第1話 神

「ん…ぅ?」

目が覚めると、見知らぬ白い空間…。

あ、天国ね了解おやすみ。

「こら、起きぬか。」

「おわぁ!?!?」

ここが天国だと理解し再び眠ろうとすると、上から…というより後ろから女性の声が聞こえた。

すぐに起き上がり声がする方へ向くと白い布だけを着た小柄な女性がたっている。

黒髪で、腕が細く、背丈が小さく、まるで座敷わらしのような人。

つまり、子供っぽいということだ。

「はぁ…お主の考えていることなど、手に取ってわかるぞ」

「は?…え?何?厨二病?」

「厨二病では無い!」

そう喚く座敷わらしのような女性は、一息付き、こちらへと歩いてくる。

慌てて一誠はその場から立ち上がる。

「ほぉ、礼儀はあるらしいな。」

「礼儀って…。」

普通知らんやつが目の前にいたら経つのが常識では?と思う一誠だが、幼い頃から親の躾が良く体に叩き込まれ、こうするのが常識と、一誠自身もそう思い込んでいる。

「お主を選んで良かった。」

一誠の態度を見てそう一言零す。

そんな彼女とは裏腹に一誠はこの状況を知りたさすぎてうずうずしている。

「なぁ、ここはどこなんだ?お前は、誰なんだ?」

「そう一気に質問攻めをするな。」

一誠の知りたがりに一つため息をつく。

そして、こう答える。

「わしの名はスタタ・マテル。」

「スタタ・マテル?変な名前…。」

「不幸体質にしてやろうか?」

「ごめんなさい!」

マテルの名を馬鹿にした一誠に般若の顔でそう言う。

多少の礼儀はある一誠だが、人間なのには変わりない。

そんな一誠にマテルは一つため息をつくと「話を戻そう」と言い本題へと入ろうとする。

「今からお主にはとある世界へ行き、その世界の大地の神を、愛と戦の神から救え。」

「だ、大地の神?愛と戦の神?どゆこと?」

マテルの発言に頭が困惑している一誠なんかお構い無しに、「さぁさぁ」と背中を押しとある場所へと連れていく。

「ちょ、押すなよ!」

「もう時間が無いんじゃ。神を救うことぐらい簡単なことじゃろう?」

「そんな訳…へ?」

反論しようと開けた口は目の前の巨大な扉を目にした途端魚の口となった。

数十メートルもありそうな巨大な壁…それには威圧感があり、倒れてしまえば紙になるのも同然。

「な、なんだよこの扉!」

「あちらの世界への扉じゃ。」

「だ、だから世界って…。」

未だ困惑している一世を他所に、

「安心せい。お主がそちらに着いたら手紙を送る。」

と言う。

「だから!」

ギィ…

「え???」

一誠が何かを発言しようと開けた口はまたも魚の口となった。

一誠とマテルが言い合っていると突然、迫力のあった扉がゆっくりと開き、中からは不思議なほどに暖かな光が盛れ出している。

「うわ…。」

「ほれ。」

「え?ちょ!?」

一誠が光を見つめていると、隙をついてマテル画一誠の背中を押す。

一誠は背中を押された衝撃で扉の中に入ってしまった。

「何して!」

「お主らが必ずや、大地の神を救うことを祈っておる。」

「はぁ?」

マテルの一言で扉がしまろうとする。

慌てて外に出ようとするが、バリアでも貼ってあるかのように一誠とマテルの間に透明な壁が作られている。

「さらばだ、愛しの子よ。」

そう言い残し、扉は閉じられた。

一人取り残された一誠はこれからどうしようかと考え始める。

何とかしてこの扉を開けるか、それか光の向こうへと進むか。

「…行くか。」

後者を選んだ一誠は光の射す方へと歩き続ける。

マテルが言っていた世界とは、これから一誠達にどんな試練を与えるのか…。

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