メモリー・ファンタジー
@zinga0510
Prolog
冬が終わり、春になる。
春になり、桜が咲く。
桜が咲くと、新しいことが始まる。
俺はそんな新しいことが大っ嫌いだ!
なんだって今日は…
「始業式…」
そう、今日は春休み明けの始業式。
つまり、今日から俺は二年生になる。
「はぁ…なんでこんな寒い時に家を出なければいけない…」
春と言っても今日は冬並みに寒い…。
いや嘘、少し温かい。
でも、引きこもりである俺には季節なんて関係ない。
早く家に帰って昨日買ったゲームの続きをしたい…。
柊一誠。
通信制高校へ通う高校二年生。
授業以外ではずっとゲーム。バイトは一度もしたことが無い。
それでもうちの親は文句を言わない限り、相当甘やかされている。
駅のホームへ立ち、電車が来るのを待つ。
その間に動画サイトに載せられているゲーム実況を見る。
結構なゲームオタクなため、暇さえあればゲーム。勉強?そんなの授業だけで十分だろ。
ま、この前のテストで赤点ギリギリのやつが言うことじゃないけど…。
あれ?そういえば、今日は電車遅いな…。
遅延か?最悪すぎる。着いたあとめっちゃ急いで歩かないと…。
少し前のめりになり電車が来る方を見てみる。
ドンッ
「へ?」
突然、後ろから誰かに押された。
押された勢いで俺は線路へと落っこちてしまった。
「おい!学生が落ちたぞ!」
「誰か駅員を呼べ!」
「待って!もう電車が…!」
野次馬の声が聞こえるが、今の俺にはそんなのはどうでもいい。
横からくる恐怖野音が、次第に大きくなる。
ブー!
「ぁ…」
最後に、声にならない声を出しただけで、俺の人生は幕を閉じた。
あーあ、最後に、あのゲームだけでも進めとけば…。
ガシャン
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます