第二海 「月下海」
「月下海です、お願いします。」
「月下さんは平方の隣だからね!」
俺は目を疑った。なぜなら本当にラブコメのような展開になってきたからである。
「おい!翔也の隣だってよーよかったな!連絡先、交換してもらえよ〜」
本当に光輝はいつでも呑気なやつだ。そんな事を言っているうちに月下さんが席に来た。
白い髪に青く綺麗な瞳。それはまさに名前の「海」にふさわしいような綺麗で容姿端麗な人だ。
「あのーひらかたさんですか?」
「そうだよよろしくね!月下さん!」
(声も可愛いとか反則かよーー)
その日、その瞬間から月下さんはクラスの人気者でみんなに質問攻め。中にはもう告白している生徒もいるらしい。
──それからというもの特にこれといった出来事もなかったが、ある日一人の男が立ち上がったのだ。
そう、──神木快斗だ。神木はクラスいや学年を超えての人気者でありそしてイケメンだ。昼休憩はよく神木を見るために集まってくる女子が多くたむろっているものだ。
そんな神木が今日の昼休憩に月下さんに告白するという噂が流れたのだ。それを聞いた神木ファンの女子はガッカリしていた。俺も少しガッカリしていた。
(あーあ付き合っちゃうのかー)
そうやって絶望に襲われているうちに昼休憩になった。俺は光輝と一緒に焼きそばパンをくわえて急いで中庭に走った。噂通りそこには神木と月下さんがいた。
「月下さん俺好きなんだ付き合ってくれ」
「ごめん」
(え、ごめんの一言だけなの?もっとないの?)
あまりの素っ気なさにあの神木も口をぽかーんと開いたまま閉じなかった。
「なぁ翔也、月下さんって感情あるのか?」
「なんでそんな事言うんだよ同様しただけだろ。」
「だってあの神木に告白されてあんな表紙一つ変えずに断るやつがおるわけないだろ?」
確かに言われてみればそうかもしれない。そういえば月下さんが入学してから一回も笑顔を見ていない気がする。
そこで俺は中学の時によく見ていた海の生き物が浮かんだ。クラゲだ。
クラゲは見た目は美しくきれいで見るものを魅了するような力がある。だが感情がなく、何を考えているのかもわからないという説明があった。
「クラゲだ!」
「どうしたんだよ翔也!いきなりびっくりするわ!」
「そういえばクラゲってきれいだろ?」
「そうだなそれがどうしたんだよ」
「クラゲってな感情がなくて何考えているのかわからない生物なんだ。」
「そう言われると月下さんに似てないか?」
「それを言いたかったんだよ!」
でもなんで月下さんはあそこまで感情がわかりづらいのか気になった。
俺が一目惚れしたその子はクラゲのように消えた ふっしゅー @hakuhaku0406
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺が一目惚れしたその子はクラゲのように消えたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます