第9話 新しい現実
裕一郎が「もも、おはよう」とももに挨拶をした。
ももが「裕一郎さん、今日も素敵ね」と目をキラキラさせて裕一郎に
恋焦がれていた。
裕一郎が「それよりもご飯はどうしたんだ?」と訊ねた。
ももが「そうだね〜。今日はカレーがあったからそっちで食べましょう」と
エプロンを身体にかけた。
味噌汁は、優子と一緒に住んでいるときにいつも作っていたので手慣れていた。
裕一郎が「ほー、美味しそうな匂いだ」と立っていながら匂いだけを満喫していた。
ももが「あら。そんな所で匂い嗅いでないで皿とか箸とか持っていって」と裕一郎に声を掛けた。
裕一郎が「はいはい。わかりましたよ」と嬉しそうな顔をしていた。
ももは、裕一郎と暮らしてからは主婦として食事を作ったり、裕一郎の洋服をクリーニングに掛けたりしていた。
裕一郎が「ありがとうな。洋服が新しくて良い気持ちだ」と何故か爽やかな顔をして居た。
二人で暮らしている、裕一郎の姿は愛らしくて、ももは「今日も裕一郎さんが無事に仕事に行ったな」と凄く独身の頃よりも裕一郎の事を笑顔で送り迎えをするようになっていた。
そこへトントンと扉を叩く音が玄関から聞こえてきた。
優子が「もも、久しぶり。此処に住んでいたんだ」とひょこっと顔を出した。
ももが「そうよ。私も、もう裕一郎さんの妻として頑張って居ますよ。でも
久しぶりに何処か出掛けたいなって思ってね」と優子に話し掛けた。
優子が「そうよね?あんまり主婦業ばかりしていると疲れちゃうもんね」とももに笑顔を見せた。
ももが「じゃ、何処に行こうか?」と優子に話し掛けると、優子が「そうだね?
私は、遠くのデパートで少しお茶しようかなって思うんだけどね」とももに話をした。
ももは「じゃ、行こうか」と優子の手を取り、車に乗って食事を食べる場所まで行ってパフエやアイスを食べていた。
優子は「はー、もも。アイスが頬についてるよ」とタオルで拭き取った。
その頃、裕一郎はももの作ってくれたお弁当を食べていた。
同僚の塚原が「あ、良いですね?愛妻弁当ですか?」と裕一郎の弁当を見て声を掛けた。
裕一郎が「ああ、そうなんだよ。ま、僕への愛はいつまでも冷めることは無いだろうけどね」と塚原に笑って見せた。
塚原が「それは分かりませんよ?もしかしたら、裕一郎さんの見て居ないところで浮気をしているかも知れない」と少し不気味な笑みを浮かべていた。
裕一郎が「それでも、ももの事を信じているから」と言い放った。
塚原が「ああ、いいな。俺もそんな人が欲しいな」と裕一郎を羨ましそうに見ていた。
さようならの代わりに 影山 みはつ @mihatsu1865
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