第2話

西端の住人が出てきたが、少しの間の後、何か言いながら部屋に戻った。

これまで五部屋とも同じ展開だ。

予想通り、その隣のドアが叩かれた。

すぐに住民が何か言いながら出てきたが、ドアを開けた途端に静かになった。

そして部屋に戻る。

その隣のドアも叩かれ、まったく同じことが起こった。

――となると、次は……。

ドアが叩かれた。

俺の部屋のドアだ。

迷った。

出て見るかどうかを。

しかしドアは止むことなく叩き続けられている。

どうやら俺が出るまで終わりそうにない。

このままではうるさいし、それに近所迷惑でもある。

俺は意を決してドアを開けた。

するとそこにいた。

全身血まみれで、下半身がなく上半身だけの女が、宙に浮いていたのだ。

――!

女と目が合った。

すると女が笑った。

「あら、あなた、私が見えるのね。私が見える人とは初めて会ったわ。やっと会えたわ。嬉しい。もう二度と離さないから」

女はそう言うと、俺に抱きついた。



       終

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ドアを叩く者 ツヨシ @kunkunkonkon

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