淡く融ける恋
九戸政景
本文
「寒いねえ」
「そうだな」
ぶっきらぼうに答える。隣を歩くのはクラスで委員長をしている奴で、俺はつい昨日転校してきただけの奴。クラスに馴染めてない俺を見て、委員長はどうにか馴染ませようとしているようだ。
「委員長、別に俺は――」
「私の名前は雪代真白だよ、氷室
「……雪代、俺はクラスに馴染む気はない。だから、こうやって何かをする必要なんてないぞ」
「ううん、私がしたいだけだよ。クラスの事がどうじゃなく、一目惚れしたあなたと一緒にいたいだけ」
「え?」
突然の言葉に驚いてしまう。雪代の頬は赤いが、寒さというよりは照れなのかもしれない。
「えへへ……なんかしっかりと言うのは恥ずかしいね」
「雪代……」
「いつかしっかりと融かしてあげるからね、その心を」
「もう融けてるよ」
「え?」
驚く雪代の唇を奪う。ぷっくりとした唇の感触は柔らかく、雪代の顔と同じで離した俺の顔も熱を帯びた。
「……その、まあ……そういうことだから」
「う、うん……」
俺達は顔を赤くしながら並んで歩く。さっきまで少し離していた距離は自然と手を繋いでいた事で少し縮まっていた。
淡く融ける恋 九戸政景 @2012712
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