プールいっぱい

涼風岬

第1話

 女子高生二人がプールサイドに座ってる。今日はプール開きの為の清掃に学年全員駆り出された。彼女たち二人は施錠を頼まれたが、疲れたので休んでるのだ。二人はジャージのズボンのすそひざまでまくり上げ、両足をバタつかせている。


「あ〜、何で私たち水の張ってないプールで座って、こうしてるんだろね?」


「ミナのせいじゃね?」


「何で?」


「水が無いで水無みなじゃんね?」


「ハッハッ」


「はいー、愛想笑い〜」


「ところでさ、プールいっぱいにするのって水道代幾らだろうね?」


「5万位じゃね?」


「でもさネットニュースで見たんだけど、先生がプールの水止め忘れて4日で水道代200万って見た気がする」


「4で割ればいいんじゃね?」


「でもさ、満杯になるの1日ピッタリってわけじゃないじゃん? 1日より短いかもしんないし、長いかもしんないじゃん?」


「面倒くせぇ〜」


「だねぇ〜」


「さすがに秒単位までは無理〜」


「ちょっと話変わるけど、プールいっぱいに一万円札を敷き詰めたら幾らかな?」


「んっ〜、100億位じゃね?」


「でもさ、TUBE(ツベ)でミカエルが現金輸送用のジュラルミンケースだっけ? 幾ら入るか実験してて一億だったよっ」


「なら、兆は軽く超えんじゃね?」


「じゃあイローンより富豪かな?」


「無理じゃね?」


「カナエもイーロンみたく大富豪になるかもよ?」


「何でぇ?」


「金に恵まれるで金恵かなえじゃん」


「つまんねぇ〜」


 二人は地面に背をつけ空を眺め始める。


「空青いね」


「あ〜っ、青春してぇ」


「ところでさ、何で青春は青い春って書くんだろね」


「知んねぇ」


 二人の取り留めのない会話は続いてく。

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