転生したら女の子になった件

私、一条渚いちじょう なぎさは、どうやら名家の長女として転生したらしい。


転生した世界は、いわゆる和風ファンタジー。だけどところどころ違っていて、魔力じゃなくて霊力。魔物じゃなくて怨霊。そして霊力を使って怨霊を討伐する退魔師という職業がある。一条家はそんな退魔師の有名どころとして括られる五代家の一家。めちゃめちゃお嬢様だった、私。


退魔師は血筋による霊力の量がある程度決まっている。それには才能も含まれていて、名家と一般人からでは天と地の差がある。だけど、そんなこと関係ない。


だって面白くないから。

もうで後悔はしたくない


そうして、異世界転生定番、``赤ん坊の時から魔力トレーニングしてたら最強だった件`` をやった。

だけど、霊力なんぞ未知のエネルギーわからない。そんな時は気合で何とかしよう。


できちゃった...


そんなあっさりと。まぁできたんならいいや。


退魔師は、一般的な術式を使うか、遠い先祖から受け継がれてきた``血統術式``を使うかで戦う。


霊力を自己の血筋に刻まれた術式に流し込んで発動する霊術。これが霊術。

ちなみに、一条家は<<加速>>の術式を持っている。付けられた異名は、``銀の君`` 

一条家の退魔師は「一閃必殺」を戦っているらしい。


一条家は <<加速>>

烏丸家は <<未来視>>

鬼島家は <<狂化>>

足立家は <<結界>>

島津家は <<空絶>>


これに壱号退魔師の九重紫ここのえ ゆかりの<<蛇化>>。九重さんは一条家の分家筋、九条家の分家という遠い親戚のお姉さんって感じ。ふらっと遊びに来ては、怨霊の色々な話を聞かせてくれる。中でも印象に残っているのは、小学校の怨霊。こいつは、小学校教師から転じた怨霊で、盗撮・窃盗・恫喝のクズ。その最後は無理やりヤろうとしたら、反撃されて死んだ、らしい。一応、人から転じた怨霊は呪禍怨霊という。呪禍怨霊は、自然発生した怨霊よりも数段悪質で等級も上がる。最低三級。一級となるとその被害から二つ名がつく。


現存する名前持ちは、鬼ヶ島の``呪鬼`` 蝦夷の``呪転 阿弖流為`` の二体だけ。


とまぁ、退魔師は、怨霊に加えて呪禍とも戦わなくちゃいけないハードなお仕事。


代々受け継がれた術式を使い、戦っていく退魔師の中の退魔師。死してなお逸話が残り続ける男。


玖島園柳


最強の陰陽師とも言われ、当時の陰陽寮寮長を務め、鬼ヶ島戦で命を落とした。当時、彼には三人の子供がおり、その内二人が、九島家・高柳家を興し、これに当時の五代家、天皇家直属の安部家の八家が協力して退魔師協会を設立。今は、壱号退魔師の氷室冬慈といった壱号退魔師の一名を加えた九家合同で運営している。

そんな最強の陰陽師、玖島園柳くどう えんりゅうの術式は、継承されなかった。正確には、とされている。


<<運命>>


これは、因果を捻じ曲げる という術式である。しかし、この後にこの術式を発動したものは誰一人いない。3人の息子は当然のこと、玖島家の遠縁である鬼島家でさえ、発動不可能。鬼島家は玖島家唯一の分家に百鬼夜行後の周囲の圧力。これに耐えきれなかった当時の当主が発動したのが、<<狂化>>


因果な運命だよね。


あ、ちなみに百鬼夜行っていうのは、怨霊が成長して一級怨霊、もしくは人と同化して呪禍怨霊になり、その知性をもってその他大勢の怨霊を引き連れてくる現象の事。最後に起こった百鬼夜行は200年ほど前の``鬼ヶ島戦`` これによって、当時の陰陽寮が壊滅、寮長死亡、陰陽師の4割が引退、もしくは殉職した。これを機に陰陽寮の後継、退魔師協会は四国全土を破棄。現在は、鬼島家と島津家が共同で戦線維持している。


一条渚に転生して18年。


鬼ヶ島戦線が崩壊した。

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2024年12月14日 00:00
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