TSしてニューゲーム
佐藤恩
一章 TSして転生
プロローグ
生まれた時から病院っ子だった俺の世界は、白か赤の2色しかなかった。ある程度物心つくと、窓の外に行けないことを悟った。俺の病気はどうやら、新種の病らしく、治療法なしの不治の病。身体の内側からたびたび膨張しそうになる膨張病。あらためて見ると、意味が分からない。
ただ、罹ってる俺からすると、俺の中から外に出ようとするなにかがあるんだ。これをどうにかしてくれ。
そういっても無駄だった。俺は、ク○リンになっちまうのか。なっても怒ってくれる友人なんていないけどな。
...言ってて悲しくなってきたな。
病室が実家の俺の趣味は、アニメを見ることだったり、漫画を読んだりすることだった。「こうなりたかった」「こんな風に動き回ってみたかった」っていう暗めの気持ちをその中のキャラになり切った気持ちで晴らしてた。
そんな中で一番のめり込んだのが、
‘‘なんかミステリアスな‘‘
キャラだった。
だってめっちゃかっこいいし、意味深なこと言って「えっ、どういうことなの?」ってシナリオに一味加える欠かせないキャラ。しかもめっちゃ強い。だけど、目的のために動いてるから状況の一致だけで主人公陣営に加わったり敵側になったり。要は第三者陣営ね。これがいい。
そんな半ば惰性に近い日々を送る俺だけど、その日はやばかった。それが来た時の一言目が
「..ッッ、じぬぅううぅ」
「■■さんっ、しっかりしてくださいっ!先生、鎮■剤■っ!!」
「あぁっあ...(やっぱ死ぬんだなぁ、俺)」
「■■さん、これ■えます■?■■さん!!」
最初の膨らみ方が尋常じゃなくて、無理だな、って思ったよ。そうして、‘‘なにか‘‘が溢れてくるのを抑え続け、気が付くと真っ白な空間にいた。
「ん、また病院か?」
「ほんっとにすいませんでしたっっ!!!」
「はっ?」
ぼーっとしてた俺の目の前に、現れたのは、ザ・女神って感じのやつ。頭の上に天使の輪を浮かべて、金色の髪にスラっとした体躯。碧の瞳で少し垂れた感じのほんわかした雰囲気のやつが目から涙を滝のように流しながら、土下座してきた。
「えっと、どういうこと、ですか?」
なんなんだこいつ。ぶっちゃけ一番女神じゃないか。下心抜いて思い受けべるような100%‘‘女神‘‘が俺に土下座してきてる。頭が混乱してきた。
「■■さんの病気は、本来ならその世界じゃなくて、別世界の病気?というか、その世界特有のものなんです。それを神界側のミスで、こうなってしまって...本当にすいませんでしたっ!!」
「えっ、ガチ?」
「ガチです」
そっかぁ...じゃあ、俺のこの病気はミス。ミス?ってか別世界ってなに。いやその前に。
「おい。俺の病気は神界のミスってことは俺の人生何だったんだよ...じゃあ、なにかこれがまさしく``無駄死に``ってやつなのか?」
「...そう、なります...。」
「なっちゃうのかぁ」
「はい...」
まじかよ、俺の17年無駄だったってことか。言葉が出ない
「なので、転生しませんか?もちろんっ!■■さんの望みを叶えた上でという形になるんですけど、こんなのが欲しいとか、こうなりたいとかありませんか?神の名のもとに絶対叶えましょう。思い浮かべるだけでもいいですよ、読めるので。」
なりたいもの...
「なんかミステリアスなやつになりたい」
「じゃあ、なんかこう、イメージとかありませんか?なにかしてるシーンでもいいんですけど。」
そう言われるとアニメのキャラが浮かんでくる。だけど、俺はそんな柄じゃない。こう、月明かりのもとに煙草を咥えて、黒スーツで儚げな雰囲気で佇んでいる...
「あぁ~そういう感じですか。じゃあこういうのはどうですか?」
ふと頭の中に浮かんできたのは、さっきのキャラが刀を振るいながら大勢のモンスター?を切り裂いていく映像。ってか一人で10?いやそれ以上の数相手に大立ち回りしてる様子。その後ろには、黒色の狩衣?だったかそれを来た奴らがいる。
かっこいい。これは正直ドンピシャに来た。だけど、いや、このキャラ男じゃなくて、
「じゃあ、それ用に色々つけておくので。」
「えっちょ」
「■■。いえ。■島様、今回の人生は申し訳ありませんでした。来世こそ、此度こそ幸せに生きられるよう。その道に幸あれ。」
「女神様ぁぁあ」
そうして俺、いや私は、女として転生した。
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