新橋

新橋

今日もわたしは人の波にゆられている。

飛び交う呼び込みの声。

コンクリートに吐き捨てられるツバ。

踏みつぶされたタバコの残骸。

たくさんの人の営みと、そこからこぼれ落ちたかけらたち。

その上を、わたしは流れ、ながれていく。

いつまで、どれだけこの生活を続けるのかと思いながら。

昨日も今日も、きっと明日も来月も来年も。

わたしは行き交う人びとの中で息をする。

誰かが道ばたで酔っぱらい。

誰かを助けるために救急車が走りゆく。

人でできた川は、いつでもそこかしこが揺らいでいる。

名も知らぬ、知ることもない人びとがすれ違う。

そんな街のなかを、わたしは歩く。

ゆらりゆられ、ながれながれて。

今日もわたしは生きている。