堕up

君があんなに優しくなければよかったのに。もっと残酷で、自分のことしか考えていない、そういう人間に生まれてくればよかったのに。誰かが傷ついても自分のせいかもなんて一瞬もよぎらないような、太陽のようでいて陽炎みたいな人だったら、どんなに素敵だっただろう。優しさなんて必要ないよ。だって僕らには世界なんて必要ない。必要だと思ってたもの、その全てがいらないとわかった。それは君がいたからだ。君は空は本当は青くないことも知っていたし、カゲロウは嘘ものだということも知っていたけれど、僕にそれを教えなかったね。教えてくれればよかったのに。そしたら僕は、もっと早く世界を責めて、僕自身になることが出来たのに。

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2024年の詩 @mauricenohekiga

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