高岡美咲視点
彼が、私のものになってくれるまで。
そう、心の中で決めた。藤原陸人には、他の誰にも見せたことのないような愛情を注ぐ。そして、その心を私のものにしてしまう。どんなに時間がかかっても、どんな手段を使っても。
最初に彼と出会ったのは、図書館で偶然だった。彼が本に夢中で、まるで周りの世界が存在しないかのように静かな顔をしていた。その時、私は思った。「こんなにも無防備な彼に、私の優しさを届けたい」と。
その日から、私は少しずつ彼に近づいていった。最初はただの気まぐれだったかもしれない。でも、彼が返事をくれた時、私は確信した。彼が私に必要だと感じていることを、少しずつ。でも確実に。
「藤原くん、今日は一緒にお昼にしよう?」
私は彼に優しく声をかけた。彼は少し驚いた顔をしたが、すぐに「うん」と答えてくれた。彼のその一言で、胸が締め付けられるような感覚を覚えた。まるで、私が彼の世界に入り込むための一歩を踏み出したかのように。
「美咲さん、ありがとう…」
彼のその素直で、どこか無防備な笑顔が、私の心をさらに奪っていった。彼の目が私を見つめるとき、私は思わず息を呑んでしまう。それが愛というものだと、今、私は理解し始めていた。
でも、それだけでは満足できない。私はもっと近くに、もっと深く彼を感じたかった。
その日も、私はまた彼に声をかけた。
「藤原くん、今日は一緒に帰ろう? 終わったら少しだけ…お話しない?」
彼の顔が少し赤くなり、ちょっと戸惑ったように見えたけれど、結局、彼は「うん、いいよ」と言ってくれた。
その瞬間、私は心の中で小さくガッツポーズをした。これで、また一歩彼に近づける。彼の毎日の中に、私は少しずつ入り込んでいる。彼がどんな小さなことで喜んでくれるのか、それを知ることが楽しくてたまらない。
「藤原くん、もう少しだけ…私のことを見てくれる?」
言葉には出さないけれど、その気持ちは隠せなかった。私の全てを、彼に捧げる準備はできている。彼にとって、私がどれほど大切な存在になるか、きっと気づく時が来るはずだと信じて。
でも、焦らない。まだだって、思うように動いてくれないから、ゆっくり、じっくりと進めていくつもり。私の手のひらで、彼は絶対に逃げられない。
それからの数週間、私は毎日彼のそばにいた。学校の帰り道、授業後のちょっとした時間でも、どんな形でもいいから彼と一緒にいられることが幸せだった。もちろん、私の気持ちは日に日に強くなっていった。彼が少しでも私の優しさに心を開いてくれるたび、私は胸が熱くなり、同時に彼が私を完全に受け入れてくれるその日が待ち遠しくて仕方がなかった。
ある日、私は思い切って、少し大胆な言葉をかけてみることにした。
「藤原くん…好き。私のこと、好きになってくれない?」
彼は、驚いた顔をして私を見つめた。言葉にするのは少し怖かったけれど、私はもう後戻りできない。彼がどう思うかなんて、関係ない。彼が私を好きになるまで、私はずっと、どこまでも追い続ける。
「え、えっと…美咲さん…」
その言葉の後に続く返事を、私は待っていた。
でも、彼がどう言おうと、私には関係ない。私は、彼のすべてを私のものにする覚悟を決めているから。
彼の驚いた顔を見た瞬間、心の中で一瞬、焦りがよぎった。でも、それをすぐに押し込めた。今は、どんな反応が来ても、私は揺るがない。彼を手に入れるためなら、何だってできる。
「藤原くん、私のこと、見てくれてるよね?」
言葉を重ねながら、少しずつ彼との距離を縮める。私の目の前で彼がどれだけ動揺しているかがわかる。その心の動きすらも、私には愛おしく感じられた。
「美咲さん、そんな…急に…」
彼は少し後ろに下がるようにして言った。ああ、やっぱり戸惑ってる。可愛い。彼はまだ私の本気を理解していない。でも、それでいい。少しずつ、もっと強く、私の存在を彼の中に刻み込んでいけばいい。
「急にじゃないよ、藤原くん。私はずっと前から、ずっとあなたを見てきた。」
そう言いながら、私は彼の手を取った。その手は少し冷たかったけれど、私が温めてあげる。そのために、私はここにいるんだから。
「美咲さん…僕、そんな…」
彼の顔がさらに赤くなり、動揺の色が深くなった。だけど、私は決して引かない。これが私の本気なんだから。
「藤原くん、私はね、あなたを誰にも渡したくない。だから、少しずつ、あなたを私だけのものにしていく。」
そう言いながら、私はもう一度彼に顔を近づけ、今度はしっかりと唇を重ねた。彼も私の唇に応じるようにして、少しずつその距離を縮めてきた。私たちの心が、一つになった瞬間だった。
その後、私たちはしばらく無言でお互いを抱きしめた。すべてが完璧に思えた。あの時の彼の言葉、そしてその後のキス。私の心はもう、彼のものだと確信した。
数週間後
私たちの関係は、ますます深まっていった。彼が私を受け入れてくれたあの日から、私たちの絆は強く結ばれていった。学園の皆も、私たちが付き合っていることに気づいて、祝福してくれた。それでも、私はあの時のような静かな幸せの中で、彼に愛情を注ぎ続けている。
藤原くん、これからもずっと、私のものよ。
隠された愛しさ 青藍 @senrann
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