第54話
「おいきょーや!お前チビだし女みてぇな顔してるし、ほんとは女だろ!」
「ち、ちがうもんっ!」
「やーいオンナオンナ〜」
······まただ。道場の中で何バカなことしてるんだ、っていつも思うけど、年頃の彼らにはそれが面白くて堪らないらしい。
女子の方が精神年齢高いって、あながち間違ってないかも。
はあ…私の隣で礼儀正しく正座している悠真を見習って欲しいね。
「だったらズボン脱げよっ!」
「ぬーげっ!ぬーげっ!」
他の子たちも気づいてはいるみたいだけど誰も止めようとはしない。もし止めたら、次狙われるのは『自分』だから。
「ねーちゃん······」
泣きそうな目で私を見る悠真。多分「助けてあげて」のサイン。
「······わかったから。泣かないで悠真。」
「うんっ······!」
嬉しそうな悠真に続いて周りからも安堵の声が漏れて。
でも、私から漏れるのは大きなため息。
「なんだかなあ…」
いつからか定着してしまったこの役割に、今更文句を言うつもりはないけど。
一番強いという理由だけでいつの間にか面倒を押し付けられ、毎回駆り出されるのは他でもない。この私だ。
ワンコ系総長は最強女子を盲愛中 @mashu_pee
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