もう一つの世界から私たちの恋を照らしてくれるから

三椏咲

もう一つの世界から私たちの恋を照らしてくれるから

「何観てるの?」


私の彼女が、観ていたタブレットの画面をのぞき込んでくる。


「雑談配信だよ」

「あ!これVTuber?ていうやつでしょ!」

「うん、そうだよ」


今私が見ているのは、最近見つけたVTuberさんの雑談配信だ。偶然おススメに出てきたので観てみたら、意外と面白かったのだ。

まぁ、一番惹かれた理由は彼女たちの関係にあるのだけれど。


「ん?二人とも女性なの?」


そう、私がハマったのは二人組の女性VTuberさん。しかも、この二人は私たちと同じくお付き合いしているらしい。

そのことを伝えたらどんな反応をしてくれるのだろう、とワクワクしながら彼女に教えてあげる。


「そうなの、それにこの二人お付き合いしてるんだよ」

「え、嘘!私たちと同じじゃん‼」


私の彼女が大きな声と共に、とびっきりの可愛い笑顔を見せてくれる。そんな彼女の愛おしい笑顔を観て私の頬が緩む。

私も最初、配信をしている二人がお付き合いをしていると知った時うれしかったなぁ。

やっぱり、女性同士でお付き合いしているのが私たちだけではないと知ったときは安心する。私たちの関係に不安がないわけじゃないから。

けれどこの二人は、堂々と自分たちの存在を世の中に広げようとしている。そんな二人を見ていると、私たちの関係が間違いなんかじゃないと思えるのだ。

だから私はこの二人には感謝している。彼女たちは、私にとって一番身近な尊敬できる方達なのだ。


「ねぇ、一緒に観てもいい?」

「いいよ、一緒に観よっか」

「やったー!」


そう言って彼女は私の隣に座ってくる。それだけで私の心は満たされる。

きっと私達には、これからも沢山の困難が待っているのだろう。けれど、不思議と大丈夫だと思える。

私には大好きで大切な人が隣にいてくれるし、もう一つの世界から見守ってくれている方達もいる。だからこれからも私は幸せな道を歩んでいけるのだ。

隣に座る彼女の手を握り今ある幸せを噛みしめながら、こちらを向いた彼女と微笑み合うのだった。

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