第8話 ある日の朝

朝5時に仕方なく起きる。

1時間刻みで起きてしまっている。

睡眠障害は未だ治らない。

寝れぬなら

起きてみせよう

ホトトギス


呟きながら起きて朝飯の準備。洗濯物干し。

今はそれが精一杯である。

夕飯の準備は昼時にするようにして、資格の勉強なり図書館行くなり畑仕事するなり。とにかく暇を与えては考え込んでしまう性分である。動いていた方が幾分かマシである。


前々から思っていたが、畑のこの野菜、食べきれぬ分は何処かご近所に配っていたが、配りきれず食べきれず、処分してしまう事もたまにある。

幾分かでも足しにならないかという思いと、自分自身、ご近所から貰い物をするとお返しを考えなくてはいけないことが多々ある。配った人は食べきれない分を貰ってくれるから有り難いと思うが、貰った方は貰った方で、何かしら返した方が良いな。と心に何かしら残るものである。それを、買っていけば問題ないだろうと思い、直売所を出してみた。

売れなかったら別に家で食べれば良いだけ。必要な分だけ収穫し並べてみると、案外買っていくものだ。こちらとしてもお返しを考えなくていいし、買っていった側も買ったのだからお返しはいらぬと思っている事だろう。


直売所、なかなかいい感じになってきた。こんなこと誰もやってないだろうと得意気にフフンと近所を散歩。すると散歩コースに直売所があった。年季の入った手作り感満載の単簡パイプを組み合わせた直売所である。近隣の人に聞くとずっと前からあったよ~とのことだった。

気づかなかった。うちより立派な大根も売っていた。

なんてことだ。こんな小さな集落で潰しあいをするもんじゃない。何より、一番じゃなかったのが悔しかった。


家に帰り、布団を被ってのたうち回って散々ノーフューチャー!と叫んだ。叫んだところで何も改善はしない。だが、叫ばなければやってられなかった。俺はアンチクライスト!アナーキスト!ノーフューチャーフォーミー!!


一通り唄いスッキリした。別に2番でも良いじゃん。そう思えた。

ふと顔を上げ空を見る。どこか見覚えある景色がそこにはあった。

それは、乾いた空に浮かぶ太陽であった。


私は心から叫んだ!

にーばーん!!


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おっさん珍道中2 紫音 @purplemu49

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