第7話 2ばん!

ダーツバー常連のチャッチャ系3人組は、薄暗い階段を三階までチャッチャと上り、チャース!っと軽く挨拶しいつもの壁際の席が空いてたのでチャッチャと席に座り注文もチャッチャと済ましてチャッチャとダーツを用意した。

店員もそれに連られてか知らぬが、チャッチャとお通しとドリンクを出してくるもんだから、こっちもチャッチャと乾杯してチャッチャとダーツゲームに勤しむことになった。


この3人組でダーツバーに集まるのは久し振りだ。私なんぞ1年ぶりくらいだろうか。何れにしろ懐かしい。が、妙に慣れ親しんだ心安らぐ安楽の場所である。心地好いまま順番のじゃんけんをチャッチャと済ます。早口言葉みたいだな。カタカナで書いたろ。

ジュンバンノジャンケンヲチャッチャトスマス。

...そうでもない。


この3人で集まって順番を決める時、何故か2番目になった奴が勝ち誇るという変な決まりごとが出来ていた。1番目に勝った奴から投げる順番を決めるのだが、決まって2番目を指名する。その時、胸を広げじゃんけんで負けた奴らに体当たりして見下すのだ。特に意味はない。


店全体に響く声で

にーばーん!!


店からしてみれば大迷惑な客だが、店員も客も殆ど顔見知りだから、我々のこのやり取りは暗黙の了解で許されている節があった。


順番に投げていく。

別段、2番目が必ず勝つというわけではない。この時は1番目のケー君が圧勝する。


2番とでかい声で言った割に合わぬ3番目のドンケツになると恥ずかしさは倍である。


二回戦目。


やはり、

にーばーん!!

と、またでかい声で睨みを効かせながらケー君が2番手。

かなり良い勝負をしてギリギリ1番目の俺が勝つ。


そんなこんなで夜が更けていく。

12時少し前に小腹が減ったのでラーメンをオーダー。ラーメン屋でもないのに、ここのラーメンは酔った身体に染み渡る。〆のラーメンに最高の味だ。


客もどんどん減っていき、我々だけとなったが、我々も殆ど寝ている。店員も慣れている我々の隣で睡眠を取り出す。


朝5時。

店員の1人が朝食を取ろうと近くのビジネスホテルのバイキングに行くというので3人とも着いていく。

破格の朝食バイキング350円。


夜中ならまだしも朝方この時間に寝癖付けたまま街中通って道路沿いを歩くのは気が引けるのでやむを得ずタクシーを拾う。皆で帰ろうとなり乗り合いで帰ることに。

この時も無意識に2番目に乗る奴だけがにーばーん!!と叫ぶ。タクシーの運転手は早く乗れよと怪訝そうな顔をしていた。


片道1000円。


チャッチャ系の足は、ふやけてしまっている。シャワーを浴びて布団に潜り込む。


寝れない。


たった2時間かそこらの睡眠にも関わらず、熟睡したお陰ですっかり目が覚めてしまっている。

仕方ないので起きて畑に出る。やることはない。小鳥が囀ずっている。朝日が眩しく乾いた空に浮かんでいた。

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