聖夜の奇跡をテーマに、主人公たちの恋模様と都市開発に晒される商店街の行末が描かれています。
奇跡、というと、偶発的にもたらされるもののイメージがありますが、今作においては行動によってもたらされるものとして取り上げられています。
とは言え、それではその説明がくどいのか?というとそんなことはなく、彼等の日々の暮らしややりとりでごく自然に描写されています。
非常に読みやすくわかりやすい文章は、さらりと末尾まで読み手を導いてくれるでしょう。
人間味溢れる登場人物たちは現実的であり、題材は昨今身近に感じられるものです。けれど人の優しさや共感、思いやりを信じられる心優しい物語に仕上がっています。
心にそっと蝋燭を灯すような優しい小説が読みたい方におすすめしたい作品でした。