1-3【出会い】(1)

わたしは 綾瀬あやせしずく

聖泉女子高校に通う高校2年生



『星のかけら』については何も進展ないまま

2ヶ月も経ってしまった。


ポチとはあれから何度かケンカして

自分の部屋がなんとも居心地悪い・・・。



今日も逃げるように家を出てきたけど

でも結局ポチはわたしの周りからは離れられないんだよね。


でも狼だと表情がわからまだましか!



今日は駅に着くと電車は遅れてるし

車内はぎゅうぎゅう

ついてないな~



とりあえず遅刻しちゃうから来た電車に無理やり乗り込んだ



乗り込んだはいいけど扉が閉まるとそのまま扉に押しつぶされて・・・


なんてことって思っていたら



壁ドン状態で誰かがつぶれないように支えてくれてた。



見ると学ランを来た大柄の高校生だった。




きゃ~高校生の男の子とこんなに密着するなんて今までないから どっきどき!



ちらりと見上げて見ると顔が少し見えた!

「イケメンかも~!ラッキー♪」



どうしよ~『ずっと見てました』とか言われちゃって~


付き合うことになったりして~♪



なんてくだらない妄想をしていたら

駅に着いて急に扉が開いて、


一気に車内から押し出された。



お礼を言おうと思ったけど

一瞬のうちに見失ってしまった。




「なにそれ~うらやましい。運命の出会いかもよ!!」


教室に入ると早速、親友のあかねにその事を話したら大興奮。



「しずく!それねぇ絶対にお礼を言いに行った方がいいと思う!」


とわたしよりノリノリだ。



「ほらっまずどこの学校か調べなきゃ!」


こういう時のあかねって、行動力がはんぱない!



「学ランだったんだけどどこの高校だろ?

うちの駅で見失ったから、同じ駅かその先の駅に学ランの高校なんてあったけ?」


「確か西高校と城南高校が学ランだったと思うけど・・・」



早速スマホで検索してみたけど

「全然違うぅ~」


「この先は学ランの高校なんてないよね?」


「思いつかないね」



霧中で検索してたら授業開始のチャイムが鳴ってしまった。



結局どこの学校かはわからなかったけど、


運命の出会いだったらきっとまた出会えるはずだよね!



次の日、昨日遅れてきた電車に乗るため

家を少し早くでた。


けどそれらしき学生はいなかった・・・。



がっかり。

運命の出会いなんてそうそうないかっ。

ってちょっといじけてたら



ポチが久しぶりにしゃべった


「あの時、『星のかけら』が光っていたのは気づいていたか・・・」


ポチの声聞くの久しぶりかも



「えっ!!」


変な妄想してたから全然気づかなかった~。



「ちょっとそれって!!仲間かもしれないってこと!」



やっぱり運命じゃん!運命。


私たちは星から来た王子さまとお姫さまなのよきっと!


絶対に探さなくっちゃ!!



『星のかけら』の話をあかねにしても説明がややこしいから

ここはひとまず自力で探そう。



その日モデルの仕事が入ってたから、

モデル友達にも聞いてみることにした。



「この沿線なら、しずくが乗る駅の手前に学ランの学校あるよ!」


とモデル友達の中では一番仲の良い

キラキラネームのきららちゃんが教えてくれた。



「どこどこ?」


スマホで検索してみたら、あった!同じ制服!



「ここだここ!!この学校!

ありがとう~きららちゃん」



色々な意味でドキドキしてきた。


電車の中であんな妄想しちゃったし

『星のかけら』が光ったなんて聞いちゃったし

イケメンだったし~



うわ~高校生になって今一番楽し~かも~♪

運命の出会いなんて素敵すぎる~



「しずくどうした?顔がにやけてる。」


「あっごめん、ごめん。」



次の日、帰りに早速その学校の最寄りの駅へ行ってみた。


いるいるあの学ランを着た高校生たち。



わたしは駅のホームのベンチでソワソワしながら待ち伏せしていた。

すると・・・



「あれ?あの子。モデルのしずくちゃんじゃない?」


と周りがざわつき始めた。



いっけない!マスクしてくるの忘れてた。



まーそうだよね。わたしの載ってる雑誌って高校生が読むのだもんな~



気づかれるということはモデルとしては良いこと。


納得していたら、その中の女子が一人が近づいてきて


「一緒に写真撮ってくださいっ」


と言われた。



こんなこと言われたのは初めてだったから

少し舞い上がってしまって

軽くOKしてしまった。


そしたらいつの間にか人だかりになってしまって

身動きがとれない・・・。



そこに学ラン大男らしき人物が通りかかったけど


彼はわたしを通り越し電車に乗って行ってしまった・・・。



それから何度かチャレンジしたけど

会えなかった。



だんだん、なんで私こんなことしてるんだろ?

って思えてきて


「ねぇポチっ!満員電車だったから、

『星のかけら』は別の人に反応したんじゃないの?


変な期待させないでよ~も~!

探すのやめた忘れる!」


「・・・」


とまたポチに八つ当たりしてしまった。



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2024年12月12日 18:00
2024年12月13日 06:00
2024年12月14日 06:00

パラレルワールド ー星の記憶ー 小山かりん(Karin Koyama) @karinpan

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