「霧の魔王」
泡沫
プロローグ
ヨハンナ・ゲーテは、崩れ落ちた廃墟に立っていた。漆黒のドレスが夜風に揺れ、その瞳は燃えるように赤い炎の向こうを見つめている。炎の先には、無数の瓦礫と、誰のものかも分からない断末魔の叫びが混じり合っている。その光景を見ながら、彼女はゆっくりと口元を歪ませた。
「もう少しよ。もう少しで____」
地面に転がる瓦礫の中から、少女の姿がふと脳裏に蘇る。名をシャルロッテ。かつて、ヨハンナが唯一「守りたい」と願った存在。彼女は、己の胸に宿るわずかな痛みをかき消すように踵を返す。
一方、同じ空の下、別の街でレフ・トルストイは瓦礫に膝をつき、目の前の傷ついた子供に手を伸ばしていた。血に濡れたその手で、彼は穏やかな声を漏らす。
「大丈夫だ。僕らが必ず君を助ける。」
彼の背後では、仲間たちが準備を整えている。新たな戦いが迫っているのだ。瓦礫の街を覆う炎の影――それが『グレートヒェンの涙』の仕業であることは明白だった。
二人の思想、二つの信念が交錯する時、世界にどんな運命が訪れるのか。
「霧の魔王」 泡沫 @Utakata_Dm
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。「霧の魔王」の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
君はまだ知らないままで/微風 夜空
★3 二次創作:文豪ストレイドッ… 連載中 27話
犠牲の上に/雨窓美玲
★6 二次創作:文豪ストレイドッ… 完結済 3話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます