『ダイバー2/ゴースト·プロトコル』

宮本 賢治

第1話『おっぱい触らせてあげる』

「ね、トム、一緒にオバケ見に行こう!」

小学校、放課後の教室。

すでに下校した生徒もチラホラ。

トム(富夢)はニコ(人虹)の突然の発案に困惑していた。

「何、その、あ、またコイツ理由のわかんないこと言い出したって顔!」

詰め寄るニコにトムは取り繕うように言った。

「そんなこと、思ってないよ」

いつも勝気な女の子ニコと、いつも弱気な男の子トムは近所の幼なじみ。お互いの両親が仲が良く、生まれついての仲良し。男女の関係というよりは、兄弟に近い親友。

「でも、オバケはマジNGなんだよ」

眉毛を八の字にしたトムが言った。

「でも、トム、見えるじゃん、オバケ。わたしも一回見てみたいの、ね、お願い」

ニコが手を合わせて、拝むように頼んだ。ニコはかわいい、はっきり言って美少女。サッラサラのロングヘアーからはいつもシャンプーの良い匂いがする。仲良しの女の子にお願いされたら、そう断れるもんじゃない。けど、トムの眉毛はさらに角度が下がった。

「そりゃ、ニコのお願いは聞いてあげたいけどさ、オバケはやっぱ無理だよ。ニコだってあのとき怖かったでしょ」

トムにそう言われ、ニコはあのときの出来事を思い出した。

そう言われるとな〜。

ニコは少し困ったあと、閃いたと目を見開き、パチンと指を鳴らした。

トムのパーカーのぶら下がった紐の先を指差した。

「これがあるから、大丈夫でしょ」

トムの首には紫の紐が巻いてある。紐の先にはある物がぶら下がっている。ニコはそのある物を指差していた。

「う〜ん、でも···」

煮え切らないトムに業を煮やしたニコ。ニコはトムに顔を寄せ、口に手を当てて耳元でささやいた。

「一緒にオバケ見に行ってくれるなら、わたしのおっぱい触らせてあげる」

トムはニコの提案に全身の毛が逆立った。

「え、本当に?」

トムの問いかけにニコはうなづいた。

「だって、最近、トムずっと見てるでしょ。トムだったら、良いよ」

「本当に良いの?」

信じられないと言いたげなトムにニコはもう一度耳元でささやいた。

「スッゴく、柔らかいぞ♡」

ニコは発育が良い。身長もトムよりも大きい。胸のふくらみもクラスではトップだ。

「行く」

トムはニコの目ではなく、おっぱいを見て言った。

「エッチいぞ、トム」

ニコは頬を赤くして言った。トムは目の前のニコがこの世で一番かわいいと素直にそう思った。

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『ダイバー2/ゴースト·プロトコル』 宮本 賢治 @4030965

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