卑弥呼還る…?

 翌日。

 

 いやま、こうして2人で街へ買い物に出るのは、別に構わないんですが…


「…これ※1難升米なしめ、早く来ぬか。置いていくぞ」


「あいや、こんな荷物持たせといて、早くとかって、また卑弥呼さんったら…」


 そうなんですよ。こうして卑弥呼さんと買い物に出る度、荷物持ちやらされてるんですよ、僕は。


 正確には、荷物持たせる為に卑弥呼さんが、僕を買い物に連れてくる、ですけどね。


「しかも、その難升米って何なんです。僕には※2玉三郎っていう、れっきとした名前があるんですからね」


「なにをブツブツ言っておる。ほら、次はあのデパートじゃッ」


「あ、はいはいッ…」


 なにせ凄い美女の上に、あの『なり』ゆえ、周囲からの注目度120%といった状況下、これまた僕は奴隷のように、卑弥呼さんの後に続く有様。


 いやはや、このままじゃ、そのうち僕は墳丘・・でも盛らされそうな気がしてなりません。


 と、そういえば、この卑弥呼さんの財源につきましては、こっちの世界に来て間もなく、とりあえず生活の為に、彼女自身が着けていた首飾りを売ったら、物凄い値段で買い取ってもらえたので…


 はい、そうして得たお金で、ウチの両親も手懐けると共に、こうして爆買いも出来るという訳なんです。

 

 といったところで、


「おッ、玉三郎くんじゃないか」


 ここデパートの入口の脇で、僕に声をかけてくる者ありき。

 

 

 


 ※1 卑弥呼が『魏』に遣わしたという使者

 

 ※2 どっちもどっちや

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ウチの卑弥呼さん 七七七(@男姉) @138148

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ