ビックマックが消えた日に

平木明日香

何かがおかしい

第1話

 


 「ただいまー」



 部活が終わった夜のことだった。


 学校が終わって、夕飯の代わりにと買っておいた『ビックマック』が、テーブルの上に無い。


 リビングを探し回っても見当たらず、家族の皆に聞いてみるが、全員知らないと言う。


 昨日の残りのカレーを食べるのが嫌で、わざわざ自分のお小遣いを叩いて買っておいたのに、テイクアウトの紙袋ごと無くなっている。



 ——嘘でしょ?



 妹が怪しいと思い、「ちょっとあんた!」と肩を掴んで事情聴取。


 家族一人一人にももう一度確認し、ビックマックの行方を追う。


 だけど結局、家のどこにも無かった。


 家族も口を揃えて“知らない”って。


 私はそれを信じなかった。


 普通に考えれば、物が突然消えるなんて有り得ない。


 財布とか、貴重品とか、そういったものならまだわかるけど、ビックマックだよ?


 怪しいのはやっぱり妹だが、夕飯のカレーを食べたばっかりでソファーでくつろいでいるのに、一瞬にしてビックマックを平らげるなんてことはあるだろうか?

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