第7話

第6章: 新時代の夜明け


太陽が地平線をわずかに照らし始めた頃、アレックスとビョルンは村の入り口に到着した。早朝の冷たい空気が辺りを包み、鳥たちのさえずりが静かな朝の静寂を破っていた。まだ戦いの疲れが残り、傷だらけの服を着たアレックスは、休んでいても圧倒的な存在感を放つ巨体のビョルンを見上げた。


ビョルンは足を止め、落ち着いた笑みを浮かべながら、力強い手をアレックスの肩に置いた。

「いい戦いだったな、坊主。お前の立場であそこまで持ちこたえられる者はそうはいない。」


アレックスは静かにうなずきながら、ここ数時間で起きたことをまだ整理しきれずにいた。

「ありがとうございます、ビョルンさん。でも…これからどうすればいいんですか?」


ビョルンは低く笑い、その声は遠くで鳴る雷のように響いた。

「これからはお前自身の道を選ぶことだ。ただ、あまり深く考える前に一つ忠告しておこう。アバターとしてお前には多くのライバルが現れる。その中には強大な者もいれば、そうでない者もいるが、誰もが何かを求めて動いている。」


彼は立ち止まり、昇る朝日をじっと見つめながら言葉を続けた。

「お前の力がまだ未熟だと知れば、正面から挑んでくる奴らは少ないだろう。だから、今のうちに力をつけておけ。そして覚えておけ、アレックス。お前には、この時代の中でも驚異的なアバターになれる可能性がある。次に会う時は、さらに驚かせてくれることを期待しているぞ。」


ゆっくりとした動きで、ビョルンは腰の袋から小さな物を取り出し、アレックスに差し出した。それは稲妻の形をしたペンダントで、未知の金属で彫られており、青白い光をわずかに放っていた。


「これはお前にやる。この戦いと、俺にとってどれだけ意味があったかを忘れないためにな。」


アレックスは驚いた表情でペンダントを受け取った。

「ありがとうございます…これには何か特別な意味があるんですか?」


ビョルンは答えず、代わりに彼の持つ大槌を天に掲げた。雲が再び渦を巻き、雷光が槌を駆け巡る。

「また会おう、坊主。それまで楽しめよ。ただし、本当に大切なものを見失うなよ。」


その言葉と共に、ビョルンは稲妻に包まれ、空へと消えていった。アレックスは雲の中に消える彼の姿を見送りながら、大きな息をつき、そして小さく笑った。

「面白くなりそうだな…」そう呟きながら、手に握るペンダントを見つめた。しかし、すぐにその表情は一変し、彼は慌てふためいた。

「くそっ!母さんが起きる前に帰らないと!今日は授業もあるんだった!」


彼は急いで村の入り口を後にし、地面を照らし始めた朝日を背にして家へと駆け出した。



---


別の場所


暗く静かな森の中、一人の女性が地面に横たわる男の体を見下ろしていた。彼の顔は割れた仮面で隠されており、胸に刻まれた神の印である金色の円は徐々に消えつつあった。


背の高い黒髪のその女性は腕を組み、その冷たい目で倒れたアバターを注意深く観察していた。やがて口を開き、小さく呟いた。

「アバターが敗れると、その神の力は完全に消えるのね…でも、それがどこへ行くのかしら?」


その声には不確かさが混じっていたが、それ以上に、この戦争の目的に対するわずかな疑念が含まれていた。


彼女は空を見上げた。ビョルンが呼び寄せた嵐雲は散り始め、暖かな朝日が森を照らし始めていた。その光景に小さな笑みを浮かべる。

「ビョルンもずいぶん手間取ったわね。あの新人、思ったより面白そうじゃない。」


倒れたアバターに最後の一瞥を与え、女性は森の影の中へと消えた。その心には次なる展開へのわずかな興味と、複雑な思いを抱えながら。


第6章 終了


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神々の化身 Rexxs A. @Rexxs_A_1

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