蕎麦

兼穂しい

第1話

「わんこそば専門店」のノボリに誘われて入店してみる。


その蕎麦屋は木の温もりが感じられる落ち着いた雰囲気で、昼時のピークタイムを過ぎていた為か客は一人もいなかった。


壁には手書きのメニューが掲げられている。


"名物 九二蕎麦"


(九二?二八なら聞いたことがあるが・・・)


「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」


作務衣の上に赤いハッピを着た男が注文を取りに来た。


「じゃあ、九二蕎麦を。」


「かしこまりました。クンニはいりました!」


赤ハッピの大きい声で奥から作務衣姿の女のコが出て来た。


「本日接客を担当させていただきます。ミナミです。」


茶髪のコが可愛らしい声で挨拶をしてくれた。


赤ハッピに促され作務衣のズボンを下着ごと脱ぐと、テーブルの上でまんぐり返しの態勢になるミナミ嬢。


これ以上ないくらいに性器が丸見えである。


「では参ります。」


赤ハッピがミナミ嬢の性器に少量のソバを盛る。


「さ、お召し上がりください。」


「箸は?」


「恐れ入りますが直接口をつけてお召し上がりください。」


ミナミ嬢の性器に盛られた蕎麦をすする。


香り高い蕎麦が鼻をくすぐり、一口すすれば喉越しの良さと風味豊かな蕎麦の旨味が広がる。


蕎麦を全てすすり終わり、露わになるミナミ嬢の性器。


誘惑に負けて舌を割れ目に這わせる。


身をよじるミナミ嬢。


調子に乗ってワザと下品な音を立てて舐め回し、ハッと我に返る。


ここは個室ではない。


周りに人がいるのだ。


恐る恐る赤ハッピの顔を見る。


露骨に軽蔑の表情を浮かべている。


「お客さん、気が済みました?」


「・・・はい。(まだだけど)」


「お客さんウチはね、マジメな蕎麦屋なんですよ。そういうコトがしたかったら風俗行ってください。」


「・・・すみません。(マジメな蕎麦屋?)」


「続けます。」



1.ミナミ嬢の性器に蕎麦を盛る。


2.蕎麦をすする。


3.ミナミ嬢の性器に蕎麦を盛る。


4.蕎麦をすする。


5.誘惑に負けて事故を装いミナミ嬢の性器に唇と舌先を当てる。


6.身をよじるミナミ嬢。


7.赤ハッピに叱責される。



1~7を数周ループし腹がきつくなってきた。


こちらの様子を察する赤ハッピ。


「お客さん、ストップでしたらお早目に。」


そうそう。さっきシステムの説明を受けたのだ。


ミナミ嬢の性器に中指を第二関節まで挿れる。


終了の合図である。


誘惑に負けて中指を全力で振動させる。


声を漏らすミナミ嬢。


「お客さん、そーゆートコ!」


最後まで赤ハッピから叱責されっぱなしだった。


会計を済ませて店を出る。


店頭のノボリをよく見ると「わんこそば」ではなく「ま〇こそば」と書かれていた。


師走の風が顔を撫でる。


明日からまた日常が静かに動き出す。



~ Fin ~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蕎麦 兼穂しい @KanehoShii

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画