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「世の中には様々なダイエット方法が溢れている。しかし、その中には「やせたけれど、内臓、壊した」や「やせたけれど、止めたとたん太った」というやり方も存在しますよね」
「手軽に始められるダイエット方法があるけど、それってどうなの?」
「その方法を広めた人には合っているかもしれないけれど、あなたに当てはまらない方法ですよ。もっと太りたいですか?」
う、それは嫌だなー、と絶句する人間族の1人。
「一食置き換えダイエットって効果あるのかな?」
「――死にたいならどうぞ。止めません」
すかさず「そこは止めてよ」と笑いながらツッコミが入るぐらい、少しだけ仲良くなりました。
これから話すことは、私自身が経験したことです。あなたに当てはまるとは限りませんが、試す価値はあると思います。ただし根気とあきらめない勇気が必須条件ですが、と前置きして話し始めた。
「痩せたいですか?」
コクコクと頷く3人。その中の2人が「でも」と続けた。
「痩せたいと思いながらも、ついつい……、ね」
「食べちゃうの」
「分かります。私もそうだったから、空腹時の食への欲求は自然の摂理なので、我慢しなくていいです。ただ、食べるものに気をつけて」
「動くのが嫌いですか?」
思いっきりうなずく3人に、私も白状する。
「実は私も苦手です。しかも、私、腰と膝を事故でやられて以来、冬になると悪いです。呼吸器系の持病と「めまい」を持っています。小走りでも息切れを起こし、発作が出る始末です。ウォーキングと水泳、ラジオ体操。筋トレをすれば筋肉がつります。体は固く、ヨガや柔軟体操などもしましたが、効果なくてやめたことがあって。でも痩せたい思いは止まらなくて、悩んだこともあるんですよ」
意外だとばかりに人間族たちは「へー」と言う。少しイメージが崩れたかな、などと思いながら私は続けた。
「痩せたい! 痩せなきゃ! って思った日が吉日です。ダイエットに失敗する方法なら簡単です。――あきらめればいいだけ」
「それが一番難しいよ!」
「うんうん。難しいよねー」
「誘惑に勝てなくなっちゃうもの。なんで私だけが我慢しちゃって頑張っているのって思って」
「よく、聞かれるんですよね。本気で体重を落として筋力もつけて、体力もついて。そんな夢のようなダイエット方法ないでしょ? って。そのたびにこう答えるようにしているんですよ。「あるよ! でも、やめる人が多いから言わないだけで」と」
3人のうち1人は録音機を使って録音している。あとで文字起こしして記録に残しておくようだ。2人は頷きながらメモをとっている。ここまで話してノドが渇いたので、人数分の「特製 ほうじ茶ラテ」をいれる。砂糖の代わりにハチミツを使ってあるので、まろやかな甘さの「ほうじ茶ラテ」である。
「私がこれまでアドバイスしてきた人の中には、途中であきらめる人が続出でした。だから「言っても無駄なら、もう言わないでおこう」と決めてしまった感はあります。その方法はめっちゃくちゃ簡単。ダイエットするぞ! と意気込まないこと。ただこれだけ。意気込み、ダイエットに挑戦して、失敗を繰り返し、リバウンド太り、痩せにくい体になって、あせる。または、あきらめる。こういう人たちをたくさん見てきました。または最初っから「アハハ、ダイエットなんて無理よー。だってこんなにもおいしいものが溢れてるんだから!」とあきらめていたりする人もいます。やるからには徹底的に取り組む人も、実は危ないです。ダイエットってね。やりすぎると、死にますよ。まぁ、その前に、体が様々な反応をしてくれて、止めようとします。病気になったりして、防御反応をね」
「ダイエットしましたー。ファッションなどを楽しむはずが、死にましたー! これっていやでしょー?」
「わー。やだなーそれは」
少し大げさだったかな、と3人が帰った後に反省した私でした。
異世界で栄養士活動、始める。 あかつき らいる @yunaki19-rairu
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