後編

家に着くと、ポストに一通のチラシが入っていた。

それは、見覚えのある文字が並ぶ便箋と一緒にはさまっていて、チラシと便箋はホッチキスで繋がっている。あて名書きなどはなかった。


「来るんなら連絡くれればよかったのに……」


目の前にいない相手に向けて独り言ちると、成実は自室へ向かいながらスマホを取り出した。

すると、ちょうどそのとき、通知が入る。

わたしは思わず振り返って、いないのを確認した。

あまりにタイミングがドンピシャすぎる。


ドキドキを抑えるように深呼吸すると、メッセージアプリを開いた。

通知の相手は予想どおり。大親友からだった。


“チラシの治験、付いてきてくれない?”


彼女からのメッセージはそんな感じの内容で、地図も付いていた。

チラシを見ると、どうやら新作メガネの治験が行われるらしい。

一枚めくって便箋を見ると、『一緒に行ってくれる大親友募集中!』と書いてあった。


ふっと笑みが漏れる。

彼女らしいクマといちごの描かれたファンシーな便箋に、でかでかとそんなことが書いてあるものだから、それだけでなんだか肩の力が抜けたような気がした。


「最新の高性能メガネか……」


支援を受ける身でそんなものを買っている余裕などない。

が、治験ならばお金がかからないどころか、むしろ少しのお礼金が出るらしい。


わたしは気づくと、おっけーと書かれたポップでかわいらしいスタンプを押して送信していた。


【終】

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Little me and... 佐伯明理 @SaekiAkari

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