Little me and...
佐伯明理
前編
すべての争いごとがジャンケンで決まる世界。
初めのころはどっちが勝つかで賭け事をする人や、いち早く出せるようにと体を鍛える人が出てきて、今やAI技術を用いた高性能メガネの開発が盛んにおこなわれている。
そんな最中、わたし、
あまりに負けが続き、生活がままならないレベルで困っていたものだから、見かねた大親友が勧めてくれたのだ。
「どうしよう……」
わたしは空を仰ぐ。今にも雨の降りそうな天気だ。
300円を握りしめると、ぐぅぅという腑抜けたお腹の音が響いた。
どうにか特売で買おうとした肉まんの争奪戦にも負けてしまったのだ。
「とりあえず帰ろう……」
そうつぶやくと、木枯らしとともに雨のにおいが強まったような気がした。
傘を持たずに出てきたわたしは、鈍い足取りで家路を急いだ。
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