魔王討伐したけど異世界人が自分勝手過ぎるので異世界滅ぼします。
卯の花
異世界滅亡
それは、唐突に起こった。
ボクの視界が真っ白に染まり、気づいたらボクは儀式場のような場所にいた。
そこでボクは、自分が異世界から召喚された勇者であること、そして現在魔王軍によって人類は滅びの危機にあることを知らされた。
そして、魔王を討伐して欲しいと頼まれた。
この世界で生きる術を持たないボクには拒否権なんてなく、ボクはそれを承諾するしかなかった。
ボクは、異世界の常識を教え込まれた後、少ないお金とボロボロの装備だけ渡されて魔王を倒すまで帰ってくるなと城から追い出された。
ボクは、今まで頼られたことはなく、バカにされ続けてきた。
だから、相手がどんなクズでも頼られたのは嬉しかった。
そんな愚かだったボクは、魔王城に向かう途中で魔王軍に襲われている人々を助けた。
その戦いの中で、ボクは段々と強くなっていった。
しかし、助けた人々は口を揃えて言う。
「なんでもっと早く来てくれなかったんだ」
と。
助けたのにお礼すら言われず、ただ責められる。
その時から、段々ボクの心は壊れ始めた。
でも、魔王を倒せば認めてくれる。
そう思って、ボクはただひたすらに戦いに明け暮れた。
そして、ついにボクは魔王を倒した。
これでやっと認められる。
そう思っていたのに、王城で聞かされたのは、感謝でもなんでもなく、
「危険分子たる貴様を処刑する」
そんな、非情な言葉だった。
その時理解した。
元々こいつらはボクのことを同じ人間だと思っていないのだと。
王城に帰ってくるまでも、少し違和感はあったんだ。
みんな、ボクに近寄らない。
怖かったんだろう。
恐れたんだろう。
要するに、道具が予想以上に強くなってしまったから処分したい。
これが、この世界の奴らの総意なんだろう。
もし、誰か1人でもボクに優しくしてくれたら……そんな仮定はどうでも良い!!!
こいつらは、ボクを自分たちの都合で召喚したくせに、そして、魔王を倒してやったのに処刑すると宣った。
ああ……うん……そうだな……滅ぼそう。
「貴様!!!何をするつもりだ!?!?!?衛兵よ、こやつを取り押さえよ!!!!!」
魔力を解放し始めたボクを見て、国王が叫ぶ。
しかし、もう手遅れだ。
「『
ボクの能力、それは夢と幻を操り、そして現実を幻に、幻を現実にする力。
「滅べクソ共!!!世界ごとなぁ!!!!!」
ああ、心が軽い。
枷を外すだけでこんなにも気分が良いとは……。
ボクは、旅の途中で強くなりすぎた。
力加減を間違えれば世界は滅んでしまう。
だからこそ、ボクは魔王との戦いでも手加減をしていた。
だけど、その必要なもうなくなった。
こんな奴らなら、世界ごと滅ぼしたほうがいいだろう!?!?!?
「なんだ!?なんだこれはー!?!?!?」
肉体が激痛を伴いながらボロボロと崩れ始め、国王は叫んだ。
これがボクが現実にした幻。
『無還』
全てが崩壊し、無へと還る。
生物の肉体も、魂も、無機物も、そして世界もありとあらゆる全てが滅びる。
肉体と魂を持つ者は、その両方の崩壊によって激痛を味わう。
この世のものとは思えぬほどの激痛を。
「ああ、愉快だ。皆のその顔……素晴らしいよ!!!」
そうだ。
これがボクだ。
人間の絶望の表情のなんと心地よいことか。
枷を外したことで、ボクの生物としての部分が失われていくのを感じる。
今までボクは、手加減をすると共に自分の力を押さえつけ、人の形を保ってきた。
人の形を保ってきたのは、ただ単に人でなくなってしまっては、皆に認めてもらえないと思っていたためだ。
でももうそんなの関係ない。
人の形にも拘らない。
ボクの体が、徐々に人の形を失っていく。
それを見た国王たちは、より深い絶望の表情を浮かべる。
楽しいなぁ。
でも、そろそろ完全にこの世界はなくなる。
残念だ。
もうこいつらの絶望の表情が見れないのだから。
「バイバイ。世界」
その言葉と共に世界は完全に無へと還った。
無となった空間で、ボクは揺蕩う。
今のボクの姿は、完全に化け物のそれだろう。
でも、気分はすこぶる良い。
それに、この姿になって分かったけど、人型の化身を作ることも出来て、それで人間とも交流出来るようだ。
よし、それじゃあ帰るか。
地球に。
◆◆◆あとがき◆◆◆
初投稿です。
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魔王討伐したけど異世界人が自分勝手過ぎるので異世界滅ぼします。 卯の花 @yo01
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