【あとがき】堕天使陛下の仰せのままに

西 条陽

あとがき

 皆さまこんにちは、西条陽です。

 本書をお読みいただき、ありがとうございます。

ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、電撃文庫で『わたし、二番目の彼女でいいから。』を書いたり、ガガガ文庫で『少女事案』を書いたりしています。

 今回はMF文庫Jにて、この堕天使陛下を書かせていただきました。

 

 班目と陛下のコンビ、いかかでしたでしょうか。

 私はこいつらのこと、けっこう好きです。

 書き終えて、このふたりは任侠なんだな、と思いました。

 任侠というのは、ひらたくいうと、江戸時代のヤクザとか博打打ちのことです。清水の次郎長とか、歌舞伎だと極付幡随長兵衛ですね。

 ヤクザの源流なので世間からのはみだしものなわけですが、義理人情のためなら、損得勘定抜きにお上にだって楯突くし、弱きを助けることに命をかけちゃったりします。

 いわゆる、『粋』というやつです。

 彼らは『粋』であることにこだわっているので、権力におもねったり、困っている人を見捨てたりはしません。そういうのは『無粋』なんです。任侠ものの物語では、ま~彼らがカッコイイ。なんせ命をかけてカッコつけて、自分のことは二の次で、他人のためになにかするわけですから。

 

 陛下は最初から任侠でしたね。

 マナーだの服装だの、効率的とはいえない部分でカッコをつけつづけ、聖杯も最初からいらなくて、ただお父さんを亡くした女の子のために依頼を達成する。

 なかなか粋じゃあございやせんか~。

 

 班目もだんだん影響されて任侠になっていきましたね。

 単館映画館のシーンはとても好きでした。

 かっこいい。

 頭いい。

 他人からいわれて、とても気持ちのいい言葉。

 でも、本当にいわれて嬉しい言葉は――。

 ありがとう。

 SNSなんかの影響でいろいろと承認欲求に惑いがちですが、みんな意外と心の底ではそうなんじゃないのかな、と班目を描写しながら思いました。

 小説も同じかもしれません。

 作者は天才、尖ってる、この作者はすごい。

 そんな、書いた人間が主語になるような言葉はいらなくて、ただ読んだ人がいうシンプルなひとこと。

『おもしろかった』

 それだけのために書いている作家も、もしかしたらどこかにいるのかもしれません。

 ちなみに私は天才と呼ばれるのなら、それはそれで歓迎です。

 どうもありがとうございます。

 

 さて、それでは謝辞です。

 担当編集氏、MF文庫Jの皆さま、誠にありがとうございます。

流行でもなく、特定ジャンルにもハマらない作品をプッシュして世間にだしてくれたことをとても感謝しています。

 読者の皆さまには少し伝わりづらいことかもしれませんが、こういう作品をプッシュするというのはとても勇気がいることなんです。

 簡単にいうと、私には二番目彼女というヒット作品があるので、同じジャンルのものを書いて、それを宣伝したほうが部数はでるし、私の懐もあったまるわけです。

 でも――。

 そうです。

 そういうことをするのは、あまりに無粋というものじゃあございやせんか。

 ということなのです。

 粋な編集氏とMF文庫Jに感謝しております。

 

 らう先生、素敵なイラストをありがとうございます。

 キャラクターのデザインにも、表紙の構図にも、たくさん手数をかけて頂きました。

 私はあまり本文でビジュアルを細かく描くタイプではなく、特に指定もしないので大変だったと思います。でも、おかげさまで、らう先生のセンスで、かわいらしく、小粋なキャラクターたちが誕生しました。彼らの顔がみえるようになったので、さらにイメージがふくらみ、二巻はさらに面白く書けると感じています。ありがとうございます。

 他にも校正さん、デザイナーさん、PVの製作をしてくださった方々、書店の皆さま、本書に関わる全ての皆さまに感謝しております。


 スペシャルサンクスとして、リゼ・ヘルエスタ皇女殿下にも大感謝でございます。本書を読んで頂き、コメントまでくださって、本当に嬉しかったです。いつか、しずお……ヘルエスタ王国を舞台にした、胸がキュンキュンするような爽やか青春小説を書いて、王国の繁栄に貢献したいと思います。

 

 そして最後に読者の皆さま、誠にありがとうございます。

 読んだ人を元気にするような、パワーとガッツのある物語を書きたいと思っていました。

 皆さまが少しでも元気になっていただけたなら幸いです。

 もっともっと面白い物語を書けるよう、精進しようと思います。


 それでは二巻であいましょう!

 さらば!




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