第4話 ざまぁ&ハッピーエンド

□王城にて(スコット王子)


「貴様らはすぐに神殿の義務を果たせ。今の間にもミリアの地元が荒らされておるのだ!」

まったく、なぜ王太子である俺がこんな些事の対応をせねばならんのだ。


「私には無理でございます。後任の神殿長だったマーシャルならもしくは、と思いますが、力なき私には無理です。もしそれを成したければエリーゼ様を探し、頼むしかありません」

「なんだと? 貴様は神殿長であろう。長年この王都の神殿長として悪魔に対処していたはずだ。まさかできぬとは言わせぬぞ?」

俺は知っているのだぞ?

偽エリーゼが聖女となったとき、王都の神殿長を退任して隣町に引っ込んだことを。


平民出身であるにもかかわらず、長らく王都の神殿長として崇められてきただろう。今も地元で良い生活を享受してきただろう?

なら責務くらい果たすのが筋だ。にも関わらずできないだと? さらに偽物のエリーに謝って頼めだと?


俺をバカにするのもいい加減にしろ!


「長年対処してきたのは聖獣様がいたからです。エリーゼ様が聖女と成られたとき、天に帰ってしまいましたが」

「なんだと? どういうことだ! まさか手柄を偽っていたのか?」

「もしやご存じないのですか? 神殿長に悪魔を払う力などありません。聖女様か、聖獣様にしかその力はありません。聖女様が不在の間、300年間も聖獣様に頼ってきた。それは王家が頼み、先代聖女が聖獣様にお願いされたからです。それを知らぬと?」

「ふざけるな。行きたくない言い訳をするな! とっとと行け!」

まさかそのような嘘までついて行くのを断るとは、なにが神官だ。ふざけるな!



「行くのはお前だ、スコット」

「なっ……父上?」

何しに出てきた耄碌ジジイ。ずっと病に伏せていると言い訳して出てこないからまだ王でもないのに俺がやってやってたんだぞ? それをいまさらなんだ?

それになぜミリアを連れている。


「お前の望んだ通り、ミリアは聖女と認定されておる。実家のことなのじゃ。対処するのじゃ。なに心配はない。そなたの婚約者であるスコット王子も行くのでな」

「なんだと? ふざけるな! 俺はここで責務を果たすのだ」

「とっとと行くのじゃ! 騎士団よ。2人をセバト子爵領へ送れ!」

「待て! 何をする! 離せ!」

「やめて下さい! 私に悪魔を払う力などありませんわ! 王子! 話が違います!」


当然ながら大喧嘩をしながらも馬車に詰められ、中からは開かないように施錠され、2人は仲良く子爵領に送られました。


騎士団員は接触したくないし、会話も聞きたくないので宮廷魔道士団に依頼して、遠隔操作で王子たちの馬車を悪魔にぶつけた結果、プチッと踏みつぶされたようです。

国王は調和を乱したことにブチギレしていたようです。



□聖獣の棲家(エリー)


『地上で悪魔があばれてるみたいだからマーシャルを派遣しておいたよ』

「えっ、大丈夫ですか?」

『働かせればいいのさ。エリーは気にするだろ? セバト子爵領だっけ? クラウスとアリューゼも同行したようだから』

「わかりました。あの領地はフォーネルト領の隣ですしね。みな心配でしょう」

『国王からの謝罪もあったしね』


目の前にいるのは背が高く、金髪碧眼の男性。

凛々しさの中に小動物のような可愛らしさ、抜け目のなさ、茶目っ気を持たれています。


今の私の伴侶。まぁ聖獣様ですが。



私は国外追放になったので聖獣様の棲家にやって来て今は楽しく暮らしています。




***

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私を偽装するなと言われても、知りません! 蒼井星空 @lordwind777

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