第七の日 フィニスの晴れた日曜日

「ねぇ、ヘレーネ。君の愛が僕を世界で一番高いところまで導いてくれたんだ。ありがとう」

「ううん。わたしはただ、君に会いたくて……」


 わたしは泣いた。君も泣いた。


 七日目の日曜日。

 それは晴れた冬の日だった。


「本当に永かったね、アデル」

「そうだね、でも逢えてよかったよ」


 わたし達は永遠を知っている。

 だから君に会えると分かっていても辛かったんだ。

 今、こうして逢えてよかった。本当によかった。


「手を繋ぎたい」

「いいよ」

「キスしたい」

「いいよ」

「ねぇ、またセックスしない?」

「いいよ。でも、その前に」


 君はわたしを抱き寄せた。


「今はこうしていよう」

「うん」


 わたしは君の温もりに包まれて、目をつむった。

 安心感と幸福感は愛の副産物なのかな。

 そんなことを考えているとわたしは眠くなった。


「このまま寝てもいい?」

「いいよ」

「寝る前に一つ」

「何?」

「愛してる。本当に好きだよ」

「ありがとう。僕も君を愛してる」






 目覚めると、いつもの私の部屋だった。

 今日は冬休み最後の日。

 わたしは君のことすら忘れてしまって……。

 でも、わたしはその朝泣きながら起きたのだ。

 悲しかったのかな。嬉しかったのかな。

 わからないけど、わたしは今も君のことを探してる。



 Fin

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No.38 フィニスの晴れた日曜日 空花凪紗 @Arkasha

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