日常あれこれ詰め合わせ
てるる
第1話 魔女の一撃(ギックリ腰)と介護
トイレや(猫の)嘔吐シーン注意
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
20241208
朝、旧式の蛍光灯をLED照明に取替えるため、電気屋さんに来ていただいた。
作業員のお兄さんが一人で運んでいるのを見かねた私。
頼まれもしないのに手伝おうとして
大型の照明を持ちつつ階段を降りようとしたら『びきっ』とな。
あ、これまずいヤツだ。
激痛で動けない。
心配顔の作業員さんには痩せ我慢。
「あー、前にもやっちゃったんですよね、4回目ですよ、あはははは」
顔で笑って心で泣いて
母が骨折した時のコルセットを借りて固定した。
とても苦しい。
ワイヤー入りの胸部装甲がコルセットに当たって
腰だけじゃなく胸まで非常に痛む。
少なくとも母のほうが胴長だったことは判明した。
それにしても電気屋さんが来るのでブラ付けてたのが悪かった。
フリースにノーブラじゃちょっとねえ。
箒を逆さまにして杖代わりにするが
見た目が非常によろしく無い。
椅子に座って逆さ箒を槍のように立てて持っている姿は
昭和の夫婦喧嘩シーンを彷彿とさせる。
電気屋さんとのやりとりは父に任せて
とりあえず今日一日はギッチギチに固定してやり過ごそう。
日曜日はいつも通っている整形外科はお休みだし。
それにしても痛い。
休日も空いてるところ探そうかなあ?
iPadさんを引き寄せて検索。
あ?割と近くにあるじゃない、ギックリ腰専門って。
なになに、初回割引¥5000〜
次回以降1回¥9900×6回以上
いけるか!そんなん!
貧乏人なめんな!
明日、整形外科が開くのを待とう。
そして泣こうが喚こうが出るものは出る。
まずトイレへ向かうのも苦しい。
出来るだけ振動を与えないように
壁に手を添えて、そおおおおおっとすり足水平移動。
幸いトイレには母の介護用に手すりがついている。
手すりを支えにズボンを下ろす、が困ったのはこの先だ。
下着の上からコルセットをギッチギチに締め上げてある。
コルセットと一口に言っても色々なタイプがあると思う。
これは母が骨折した時にオーダーしたもので
母の体格に合わせて調整してあるものだ。
胸の下から腰骨の上を覆う形で、胴回りを縦に何本もの骨で支え、
後ろは中世のメイドさんがよくやっているように紐で締め上げる。
前は自分でも締めやすいように、マジックテープとバックルが上下に5段連なっている。
このままでは用を足せないので、バックルを外して下三本だけマジックテープを緩めてみた。
ぶにょん
溢れ出る腹肉。
違う、貴様じゃない、引っ込んでおれ。
コルセットの下から下着を引き摺り出して
なんとか便座に腰を下ろす。
しばし恍惚の人。
よかった間に合った。
ウォシュレットさまのありがたいこと。
さて終わった終わった、ペーパーを手に始末を……
と、届かんっ!
これを一体どうしろと!?
我が家のウォシュレットに乾燥機能は付いていない。
洗浄したはいいものの、濡れたままでは下着を履けない。
なんたることか。
乾 く の を 待 ち ま し た 。
教訓、
ウォシュレット設置の際は高機能のものを選びましょう。
20241209
朝から昨日よりも痛みが強い。
とてもじゃ無いがしばらく出勤出来そうにない。
午前中に職場に連絡、有給申請。
出来れば土曜日には出てほしいそうなので金曜日まで。
また金曜日に体調連絡することに。
お昼は父が肉まんをチンしてくれた。
15時、整形外科に行くため父が車椅子を押してくれる。
最初の関門が靴。
屈めないから脇のファスナーを上げられない。
これも父に介助してもらう。
感謝しかない、が認知症の母を
猫と二人きりで留守番させてしまうのが心配。
タクシーを頼もうとしたのだが、父が是非にと申し出てくれた。
好意を突っぱねるのも申し訳ない。
ありがたく受ける。
道路のアスファルトが均一でないので
補修後とかで凹凸があると振動が来て痛む。
ちょっとした段差も衝撃がくる。
車椅子って乗っている方もなかなか大変なものだと思った。
病院では、レントゲンを撮るのに
「立つより寝た方が良い」と言われたが
診察用のベッドに上がるのがまず大変。
ブラにワイヤーが入ってるから取らないとならないし
コルセットもガッチガチに締めてきている。
レントゲン技師の方が介助してくれるけど
体勢を変える時に激痛が走る。
なんとかベッドにあおむけになって撮影。
胃のバリウム検査のように体勢を指示されて
仰向けになったり斜めになったり。
痛いよぅ……
技師さん丁寧に接してくれてたけど痛いものは痛い。
典型的なぎっくり腰と診断されて数日間安静を、とのこと。
痛みを脳へ伝えないブロック注射を
腰椎の両脇二箇所に打ってもらって
かなり楽になった。
けど認識を逸らしているだけなので
安静にしていないと治りが悪くなる。
帰宅途中で出来合いのおかずを購入。
自炊派なので滅多にこういうの買うことはないのだけど
体調が悪い時にはとても助かる。
薬局に処方箋を出したら1時間待ち。
一度帰ってから父が取りに行ってくれるそう。
本当にありがたい。
治ったら親孝行しないと。
20241210
昨日のブロック注射が効いたらしい。
今朝は起き上がるときに激痛ほどの痛みは無かった。
「痛みは感じにくくなるが治ったわけではないので安静に」と指示されているのに、父に任せてばかりなのが心づらくてつい家事をしてしまう。
母の冬物パジャマを1着しか出してなかったので、押し入れと箪笥、2階も確認して整理。
あまり痛くないので調子に乗って少し古くなっていたパイ生地も使ってアップルパイを作る。
夕食も作らなきゃと、チャカチャカ動いていたら夕方痛み出した。
これはあかん。医者の言うことには従わないと。
反省したが風呂には入りたい。
昨日も一昨日も入っていない。
肌もガサガサになってる。
長湯しない程度に入る。
認知症の母は要介護5の認定を受けている。
日頃私が仕事に出ている日中は、父にお世話を任せていてるが、夜間は私が付き添っている。
紙パンツのお世話にはなっているけれど、まだ足に力が入るうちはトイレでさせてあげたい。
足をモゾモゾとさせるのがトイレの合図。
24時間年中無休だ。
いつ来るかわからない。
夜中だろうが何だろうが、母がモゾモゾしだしたら介助せねばならない。
ベッドの中で脱ごうとするのを止めて、布団を剥いでベッドから下ろす。
……のがまた大変。
ベッドの縁に足を下げてブラブラさせて貧乏ゆすり。
そのまま何分経ってもまったく立とうとしない。
こういう時に上方向へ引っ張ろうとしてもダメだ。
試しに自分が立ち上がる動作をしてみるといい。
体を一度前屈みにして重心を前へ移動させることだろう。
他人を立たせる時も同様だ。
母をベッド縁に座らせて、肩に手を当て両手を斜め下に向けて軽く引く。
同時に片手を母の尻の下に入れて持ち上げるのがコツだ。
嫌だ嫌だと文句は言うものの、これで立たせることができる。
……通常ならば。
今は私がギックリ腰。
非常の時である。
夜間はコルセットも外している。
たるんたるんに緩んでいる腰回りを片手で押さえながら
へっぴり腰での介助だ。
通常通りに行くわけがない。
どうせ紙パンツも尿漏れパッドも着けている。
濡れたところで替えればいいだけだ。
ひたすら母に声を掛けて何とか立たせることに成功する。
次はすぐに脱ごうとするのを阻止しつつトイレへ先導。
廊下に灯りをつけてドアを開閉、してる間に
脱ぐな致すな!まだ廊下だ!
母を便座に誘導して座らせてから
ちょろちょろと廊下に出現した小川を始末する。
脱ぎながら致してしまうので、紙パンツもパッドも濡れてしまい
全取っ替えである。
タケノコのように重ね着したパジャマと股引きを脱がせて
新しい紙パンツとパッドを装着させる。
母よ、そこで振り向くな。
見えないと位置が合わないんだよこれ。
寒いよね、急いでお布団に戻りたいのはよくわかる。
分かるんだがちゃんと着終えるまで待ってくれ。
私も腰の痛いの我慢して付き合ってるんだから
もう少し辛抱してくれ。
紙パンツにパッドを重ね、股引き、パジャマと順に履かせる、
だから踵を踏むな、引き上げられない!
膝立ちでお世話をして、手すりと箒を頼りにエイヤっと立ち上がる。
くっそ痛ぇ……
母の手を引きながら冷えた廊下を戻り、ベッドに寝かせて布団をかける。
ふう、何とかなった。
私も限界だ。
母のベッド横に(父が)敷いた自分の布団に倒れ込み……たいが
大変危険なのでゆっくりと膝をつき横になる。布団を掻き寄せて眠ろうとするが、横向きの体勢から仰向けになることができない。
寝返りも打てないくらいに腰が痛んで
ほんの少し位置を移動することも辛い。
ギリギリしながらちょっとずつ布団中央に移動を試みる。
小1時間も経った頃、やっと体勢が落ち着いた。
やれやれやっと眠ることができる。
と思ったところで母がモゾモゾしだしたよ。
またかいな。
てんやわんやの夜は更けていく。
(結局この晩、母のトイレタイムは3回あった)
20241211
痛い。
痛いとしか記憶がない。
安静に、と言われてもなかなか横になってばかり居られずに
家事と介護をしてしまう。
それが悪いのだろうがとにかく痛い。
ブロック注射ってこんなに保たないものだっけ?
脳裏にリピートされるは
アル・ヤンコヴィックの“ Living With a Hernia” ビデオクリップ
く、噴き出すと腰に響くと言うのに!
夜間、母トイレ2回、明け方1回。
20241212
痛みが増してきた。
寝ても座っても痛い。
ログを書き残す余裕も無い。
母の夜間トイレは2回だけで済んだ。
母に掛けたのはふかふかの羽毛布団。
ふっかふかのまっふまふである。
みるからに柔らかく暖かそうで非常に魅力的だ。
それは分かる。
分かるんだが猫よ、そこに飛び乗るんじゃねぇっ!
夜中に何度も何度も
ばふっ と音が響くたびに痛む腰を押さえながら
貴様を引き摺り下ろすことの困難さを知れ!
しまいにゃケージに閉じ込めるぞ!?
20241213
3:30AM猫様騒ぎ始める。
にゃろう、新聞が来ると朝だご飯だと認識しておる。
まだ早いっての!
にゃーにゃーにゃーにゃー騒いで催促してくる。
あまり騒ぐと母も起き出して介護が大変なので
とりあえず猫を静かにさせるために
少しだけカリカリを出そうか、
……と起きようとするも、激痛が走る。
ぐ、ぬ、おおおおおお
床に手をつき、少しずつ体勢を変えて
上半身を斜めに。痛ぇ……
脇のテーブルに両腕を付いて肘で支え、重心を移動する。
暗がりの中、己の顔が引き攣っているのがわかる。
猫は待ってくれない。
痛む腰に鞭を打つように両腕に体重をかけて身を起こす。
おいこら、ご飯をねだろうと甘えているのは分かる。
分かるんだがテーブルに乗って尻尾をフリフリすり寄ってくるな!
人の鼻先に剥き出しの尻を向けるんじゃ無い!
壁に手をつき家具を支えにそろりそろりと水平移動。
一歩一歩が腰に響く。
戸棚を開けて、昨夜計っておいた一食分のカリカリタッパーを出して
猫皿に……
……猫皿。
床置きである。
届かぬ。
おのれ。
生まれたての仔馬のように
両足を伸ばしたままぷるぷると広げて
皿の縁を掴んで指の力で持ち上げる。
食卓の上だが仕方ない。
カリカリを出して、ウェットタイプをひと匙混ぜ……るのを待たんかコラ!
美味しいところだけ先に食おうとするな!
あーあーあー、載せた途端にそこだけ真っ先に食いおったわコイツ!
少し湿らせないと吐くだろうお前はアァァ!
あかん、猫と攻防する体力も無いわ。
私ゃもう知らんぞ?
あとはカリカリだけだからな?
スプーンをさっと洗ってから、用を足し
またそろそろと布団へ戻る、
まだ4時にもなってない、もう一眠りしよう。
そんな贅沢を考えていた時もありました。
カリカリ食べてトイレを済ませて
元気いっぱいの猫様はトイレハイ。
まだ真っ暗だと言うのに、常夜灯の下
居間と台所を縦横無尽に走り回り、突然ぴたりと立ち止まる。
嫌な予感が脳裏を過ぎるが、いかんせん今はとっさに動けない。
和室に(父が)敷いた布団の横、座卓の上にはテレビや照明(8日に取り替えたばかり)のリモコン。
よりにもよってその真上、座卓の上でイカ耳になって目の座った不動の猫様@ちょっと寄り目がち。
ちょ、ま、あいや待たれい!暫く、今しばらくぅぅっ!
腰の痛みもなんのその、ぐっと上半身をあげて両手を揃えて受け止める体勢に。
我ながら飼い主の鑑じゃなかろうか?
素手で引き受けようと、猫様の口元に手のひらを向けるも
にゃろう、避けおった。
ぷいと顔を逸らしてリモコン目掛けておろろろろろろ。
座卓の端から畳に布団にキラキラと
恵の雨は降り注ぐ。
病的な吐き戻しでは無いので
ふやけたカリカリがそのまま列をなして出てくるだけだけれど
まだ夜も開けきらない時間に、めちゃくちゃ痛い思いをして
出してあげた朝ご飯。
ろくに消化もしないままのアウトプット。
それの始末をこれからやるのかと思うとどっと疲れてやるせない。
こう腰が痛いとティッシュの箱を引き寄せるのも大変だと言うのに。
ため息をつきつつ始末をしていたら、母のベッドの向こうで異音。
けっ、くえっ、くけっ
土石流第二弾だと!?
やーめーろーーーーー!
てるるさん
また怒涛の一日が始まる。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
セキララでお見苦しいものを失礼しました。
とりあえず覚え書きとばかりに
現状をつらつらと書き連ねたところで力尽きました。
快癒までまだちょっとかかりそうですが
本日20241213は大人しくしているつもりです。
さすがに現状では無理なので明日もお休みを申請しましたが、
は、早く治さねば。
日常あれこれ詰め合わせ てるる @52te
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