間話 ホルディの独白
天才という言葉には二通りの意味があるとホルディは考えている。
一つはマダム•リナリーのようなタイプだ。その道に優れた素養を持ち、外部からの刺激により開花するもの。独自の努力と研鑽を積み重ね他の追随を許さないこれらの人間は、あらゆるものを自分の中で昇華するのではなくこの世に具現化していく。
もう一つは、ホルディのタイプだ。世界に溢れるものを受け取り、咀嚼し、一番得意な方法で言語化する。それは文字通りそのままの行為だ。技術を磨くこともなく、研鑽を重ねることもなく、ただありのままで美しい歌声の金糸雀が囀るようにこの世の全てを唄う。それ故にひどく脆く、些細なきっかけで頽れる。
では、それに該当しない者は?
その答えが今ここにある、と。
ホルディは始まったショーと惚ける観客たちの間抜け面を満足げな笑みで眺めた。
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