第9話


 ===


 俺――坂本和人には、想い人がいる。


 彼女の名前は東雲早月。容姿端麗、頭脳明晰な、所謂『完璧超人』だ。


 そんな彼女には、桃山美羽という幼馴染がいて、どうやら東雲はこの桃山という女が好きらしい。


 桃山がいる限り、東雲の気持ちが俺に向くことはないだろう。


 そう考えた俺は、まず桃山に接触し、彼女の好意を自分に向けさせた。


 それと同時、東雲の殺意は俺に向けられた。


 そのタイミングで、俺は『マスカレード』で老婆に成りすまし、東雲に接触。彼女の『同調器』に『マスカレード』をインストールした。


 その僅か二日後、俺の思惑通り、東雲は俺を殺すため、高校の校舎裏に俺を呼び出した。


 そして、『


 これで俺を邪魔する人間はいない。


 俺はこれから、坂本和人としての人生を捨て、桃山美羽としての人生を生きていく。


 掴み取ったこの幸せを、一生守り抜くために。



「和人くん、おはよ!」

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電子仮面のその裏で 千秋亭楽市 @sensyuteiraku1

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