第3話 女なんか振ってやるぜ
「あの……私、羽倉さんのことが好きです!」
「あ?」
実はオレ、女から愛の告白(笑)をされることもある。まあ、男っぽい女子の宿命みたいなもんだよな。もちろんオレの反応は、
「無理。じゃあな」
それだけ言ってから背を向けて去る。女なんて興味ねーよバーカ。オレは、男が大好きなんだよ。泣いている声が聞こえるけど……知ったことか。オレを好きになった奴が悪い。
「おい! 何なんだよ、あの態度は! さっきの女子……かわいそうじゃないか!」
「うわ」
出やがった、クソメガネ……。
こいつ見ていたのかよ、めんどくせー。
っつーか、おまえは怒る必要ねーだろ。
むしろ……あー、うぜえなっ!
「お前オレのストーカーかよ。タイミング悪く現れるんじゃねーよ、いっつもいっつも……」
「偶然だ! それより、あんな言い方ってあるかよ! あの子に失礼じゃないか! せっかく頑張って気持ちを伝えたのに……。僕が代わりに謝っておいたからな!」
「余計なことすんじゃねーよ! お前が謝ったって何も変わんねーし!」
「イロ、一体いつまでそういうことを続けるつもりなんだ! いい加減にしろよ! そんなんじゃ前に進めないぞ!」
「な……!」
「確かに悲しいことは、たくさんあったかもしれないけど……もう終わりにしろよ! そんな復讐みたいなことをしていたって、よりイロが苦しくなるだけだ!」
そのときオレの頭の中に、多くの言葉がポンポンッ! というような調子で出てきた。
「あいつ、また男といるよ」
「男に媚びやがって」
「好きなのは、サッカーじゃなくて男でしょ?」
「男好きだから、わざとボーイッシュな格好してんじゃね?」
「男みたいな女のくせに、顔かわいくて胸でかいの腹立つ」
「休み時間にスポーツやってんの、男にチヤホヤされたいからじゃん絶対」
クソ女たちが好き勝手に吐いてきやがった言葉の数々。どれだけ自分の中で「違う」と否定しても、全く消えない。
それはオレが、しっかりと傷付いたからだ。ただ好きなように生きているだけなのに、たくさんの女にオレは睨まれた。
女が嫌いな女のオレはクソ女たちにも、やられっぱなしな自分にもムカついた。そしてオレは決意したのだ。とことん女を困らせて、とことん男に近寄ろう……と。
だが、そんなオレを許さない奴がいた。
「……そんなことオレは分かってんだよ! わざわざ、お前なんかに言われなくても……知っていたっつーの!」
「イロ!」
最悪。
ふざけんなよ、クソメガネ。
オレのこと泣かしやがって……。
ぜってぇ泣くもんかって、ずっと耐えていたのに!
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