2ー9

そうだ…。


俺は、彼の。


愛溢れる雰囲気に、恋したんだと。


何時の日だったか…。


俺は、一度、大叔母様を責めた。


『何故です…。何故、俺を、人間として、転生させたんですかっ…!』


『それを聞いて、貴方が、納得出来るのかは、不明だけど…。一言で言えば、私が下界の者に携われないから。そして、息子を見つけて欲しいからよ』


異なる瞳が、冷めた瞬間だった。


背筋が、凍る事は、こいゆう意味を表すのだと、知った。

俺が、知らない大叔母の一面。噂は、通り抜けていたが、親族の間でも、評判だった。

実の御子ですら、甘えかしてもらっていたのかは、不明。


ただ…。


彼は、優しい笑みを浮かべて『母みたく、時空術が、使える様になりたい』と、言っていた。

可愛らしい発言で、本当に、母親を、尊敬しているんだろうなと、真摯さが伝わる。


「あの人は」


「母さんが、唯一、惚れた相手でしたね…」


「えぇ」


少し、切ない表情をする。


本来は、大叔母が、旦那ならと、考えたんだろう。

しかし、彼女は、母の願いを覆した。


自分も…。


生まれ変わるんじゃなく。


見守る側へと、変えた。


あの人は、人間の、尊い命が好きだ。


変わっている趣味をしている。


だけど…。


同時に、在り方を、考えている。


常に、神々は、どう、あるべきなのかを。


「父さんが、生きていたら、本当に、あの男(ひと)に、言っていたでしょうね。『君は…。唐突過ぎる!娘を置いて、砂漠に、旅行なんて』と…」


「でしょうね。益々、彼女に、似てきているわ」


思い出した様に、呆れた表情をした。


『この、親ありて、この、子あり』という日本古来の諺。


正に、その通り、御子の一人じゃないかと思うんだ。

俺の感と、母の感は、当たっている気がする。


「恐い、想像しないで下さい…」


それだけは、あってはならない。


紅月家の婿養子が、実は、大叔母の御子の一人でしたと言ったら、誰が、父親だとなる。


考えろ!


天界には、何人か居たが。





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