2ー4

-時空のピアノ·リンリ·セーティーア神殿


『此処は、普段、私が過ごしている世界とは、違う』


心の中で、女性は、話した。


-…汝の心が、清らかであらん事を。


『…闇亜』


それは、貴女の大事な娘。


この世に、祝福の波を与える者。


だけど、まだ、神の力に目覚めていない。


曾ての…。


冥界王族の皇子。


『紅月家に、生まれた以上』


それは、定めであり、全ての万里を司る未来の“セツナ”。


何時か、目覚めた時に、気付くのでしょう。


-…眠りの中に。


『君は』


迷うのであろう。


深い深い眠りに就いた母の姿を見た時に。


『僕も』とは、言わない様に…。


-…私は、育てる。


『それは、貴女が、私に、課せた課題。一生、贖えない証』


罪の証は、常に、付いてくる。


何処までも、何処までも。


汝が、贖おうとしても。


消えない罪は、存在する。


『時空のピアノ』


-…リンリ·セーティーア·デュオテラス。


その、奏でる曲は。


華夢…。


きっと、彼女も、奏でられるかも知れないけど。

まだ、力が、目覚めていない。


そっと、ゆっくり、咲く華か。それとも、いきなり開花する華か。


今後の、楽しみ。


『闇亜は、綺麗に咲く華です』


-…“未来のセツナ”は、華麗で、優美。


まるで、白鳥の湖を踊っているプティエみたく、軽やかな動きを見せるのでしょう。


『えぇ、だから…もう少し』


貴女が…。


そう、言うなら、もう少し猶予を。


-…私が。


目覚めるまで。


闇炎。


紅月家の、由緒正しき神の力を使い、曲を奏でる伴奏者。


『生まれてくる御子が、まさか、冥界王族の皇子様だったとはな。闇炎…』


『そうね。神の、ご導きですわ』


記憶の中に残る生まれてきた少女の姿。

髪は、銀色で、開いた瞳は、異なる色をしているのが特徴的。隔世遺伝で、受け継ぐとは、思わなかった。

紅月家と言う旧家に、生まれて、神の力を使える様になるまで、あの、姿で居てくれた方が良いわね。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る