2ー1
冥界語を使える者が、存在するのは、珍しいが、確かに、彼女こと、闇亜は使える唯一無二だ。けれど、重宝されるのも真実である。
「忘れてはいませんが、其処を自慢されていても、お嬢様が、冥界語を使えるのは、母君の寵愛の源あってのもの」
「…」
「紅月家は、確かに、旧家ではありますが…特殊な家系です。お嬢様も、生まれ持った力があります。しかし、開花させるのに、少々、手こづっている様に、見えます」
ご尤もの意見だ。
夐莵が、言うのは当たり前。
紅月家に、生まれた以上、他の一族とは違う特徴。前世での力及び、術が使える。
だから、冥界語が話せる闇亜からしたら、一握り分の遺伝子で、生まれてきた御子。
髪は、隔世遺伝故の色合い。瞳は、異なる色をしている。
本来の、闇亜の力は、奇跡に近い、綺麗な色をしているそうだ。
けれど、解くに値し、何らかの法則が、存在する。
「-…仕方ないじゃない。母様、何処かに行ってしまわれたし。父様なんか『アハハ、頑張って。第一楽団長を、ゲットしてね』なんて、呑気な言葉を吐いて、旅行ですよ…」
「ですから、私が居るのです。聖霊降ろせない様じゃ、一生、外には、出られませんね」
「普通、主の娘に対して、失態を働きます?酷いですわ、あまりですわ…」
「悔しかったら、降ろしてみろ!“靉流·G·フィニア皇子”。いや、今は、紅月 闇亜お嬢様」
夐莵の科白に、闇亜は、悔しい顔をした。
逆らえないのは、事実を述べられているからであり、反論が出来ないのは、彼女こと彼が正論を言っているから。
彼女も、頭では理解している。
無論、煽られている事も。
-…この、喰えない男。
思わず、本音が、出そうになった彼女は、言葉を飲む。
感情任せで、吐いてはいけない。
紅月家の掟は、絶対。
闇亜は、静かに、深呼吸をした。
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