ハチ日目:挙動不審。
(ソワソワ…)
「…」
(ジィッ…)
「…」
視線を感じる。ずーーーーーーーっと。
ぼくがこの勉強スペースに来てから、ずーーーーーーーーーーーっと。
…目は合わせてないけれど、すんごい瞬きもせずにコッチ凝視してんだろなってことが伝わってくる。ぼくみたいな、気配切り世界チャンピオン目指せる人じゃなくても、分かるこの気配。
一体何がどうなってるんだってばさ。
「モリモリモリモリモリモリモリ…」
「…」
「ジュウウウウウウウウウ…」
「…」
視線の感じる方向からは、絶え間ない咀嚼音と馬鹿みたいにでかいジュースを啜るゥ音。
コレが、ASMRってやつ?ぼくの友達が言ってた。こんなくっちゃくっちゃする音で癒やされる〜とか言ってるのは、少しおかしい気がするけど。
こんな音出したら『KOROSUZO〜』って白タオル巻いた人から言われそう。
ついでにサブチャンネルにこの様相がさらされそう。
んなことは置いといて。
やっぱり、これ、なんかぼくに言いたい事、ある感じですよね?
そうですよね、ナナたんさん。
…この時初めて、彼女に視線を向けた。彼女に、何かを問いかけるような目で。
視線が交差する。
…アカン。
コレ、ホンマにほんまもんや。
目は逸らさないが…ぼくは、激しく動揺した。
いやだって、見てみな??まんまだよ???
ぼくが、それこそ十数回我が友に見せつけられた、ナナたんの様々な顔。
その顔と、今目を合わせる顔が、そのまんま現実世界に現れてるんだよ???
画像検索かけたら、余裕でAIさんを騙して、配信している様子を写した彼女の画像がヒットされるレベルだよ????
困惑しないほうがおかしいでしょ。
むしろ、下手に装飾された二次元のナナたんより、もっと…こう…人間味があって、すごく、なんというか…うん。可愛い。
今、スマホを取り出して、ナナたんの画像を検索して見比べてみても、ぼくは三次元のナナたんの方が、可愛らしく感じる。
目を合わせに行ったぼくは、ナナたんから目を離せずに居た。
「モッモッモッモッモッモッモッモッ…!」
「…」
おそらく驚愕に染まっているのであろうぼくの顔を覗きながら、2日連続のバーガーを頬張るナナたん。
…なんか返事してない?その声。
大丈夫?ぼく、こころ見透かされてないよね??
まぁ、こういうところは、いつものナナたんだなぁ。
どこかマイペースなとこ。別に他人の目とか気にしてないだろうし、目線を向けられている今も、あんま何も感じてないんだろう。
…そう考えると、ちょっと恥ずかしくなってきたや。
邪な気持ちでナナたんをながめてるみたいになってて。目線が合わさっていることに、何も相手は感じていないのに。
あ〜やめやめ。そっちが見てきてるはずなのに、何でかコッチも挙動不審だ。
ぼくは視線を外す。そして、今日も英語の語法に苦しむことにした。
その間、やっぱりずっと視線の標準がこちらに向かっていることは、言うまでもない。
次の更新予定
毎日 00:00 予定は変更される可能性があります
ナナたんがいた。〜ナゲットを頬張る君はVtuber〜 COOLKID @kanadeoshi
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ナナたんがいた。〜ナゲットを頬張る君はVtuber〜の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます