第3話 初陣1

 目を開ける。「そら」ではなくなっている。カイバルの世界に来たはずだ。

「空?おい、空から私たちは落ちてるぞ!」

マオが叫ぶ。なんだ、なんだと見渡すと、神体は勢いよく雲の中を突っ込んでいるところだった。モニターが真っ白になる。

「すごい高さから落ちてるんだ!何とかしないと地面に衝突するぞ!」俺は叫ぶ。

 マオはわかっていると言いたげな顔で操縦桿をつかみ、上に引っ張る。神体は姿勢を調整し、制動をかけた。するとみるみるとスピードが下がっていき、最後は空中で止まってしまった。俺も真似をすると神体はあっさり空中で止まり、浮遊し始める。

「浮いてるよ・・・」

 いったいどんな原理なんだ。こいつには翼もブースターも何にもついてない。なのに飛んでいるのだ。物理法則を完全に無視していた。管理者たちの力で起こしてる奇跡みたいなものなんだろうか。それとも何かの技術に裏付けされているんだろうか。どっちにしたってすさまじいことだ。

こんなのを見せられたら人類の科学なんてちっぽけなものなんじゃないだろうかと思ってしまう。空を飛ぶ飛行機だってあそこに飛んでる奴みたいに翼と、エンジンがついているんだ。そうあんな風に・・・?

「何か飛んでるぞ!」

マオが叫ぶ。

「大きな鳥か?しかしそれにしては角ばっている・・・。あれはなんだ?」

「あれは多分戦闘機だ。俺の世界には空を飛んで、戦う機械があったんだよ。多分F15だ。」

「えふ・・・?」

「とにかくあれは攻撃できる戦うための機械なんだよ!カイバルの仲間の奴かもしれない」

 もしかしたら管理者様がいってた反抗勢力のものかもしれない。だが神体からはひどい緊張、それから敵意と殺意が伝わってくる。なんだが友好的な感じじゃなさそうだった。

 

突然の攻撃!F15がロケット弾を撃ってくる。マオの神体に直撃して爆発が起きる。

「奴らは敵だ!」とマオ。

 彼女は操縦桿を強く握り加速。一気に敵との距離を詰める。だが敵は2機いた。一機がひきつけもう一機がマオの後ろに回り込む。

「マオ後ろだ!一機は囮だぞ!」

 俺はそう伝えるとマオの援護に向かう。だが間に合わない。マオの後ろについたもう一機がロケット弾を発射、全部当たったように見えた。


すさまじい爆発。


「マオ、おい!大丈夫なのか?」

 応答がない。奴の機体が爆発の煙の中から自由落下していく。クソ!あんな簡単に死んだりしてないだろうな、あれだけ大口たたいていたんだから。

 俺は彼女の神体に近づこうとする。だが奴らはそれを阻む。

「クソ!なんで戦闘機なんだよ!そこはドラゴンとかにしとけってんだ!そもそもF15にロケット弾なんか詰めないだろう・・・」

だが現に奴らはそこにいて、攻撃してきているのだ。なんとか反撃しないとやられてしまう。


「畜生め!」俺は叫んだ。


つづく

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ハコニハ戦記 THE SHOWDAWN OF ADMINISTRATOR @Meruno256

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