遺書ーー愛していたよ。

コトネ

第1話

とうとう遺書を残しておく。


愛する妻へ。



ーーーー・・・・・・・ーーーーー



私たち夫婦は結婚してからもう20年、、いや?30年が経ったか。。


最近、妻との距離を感じる。


最近だ。


昔は何事も2人で楽しく嬉しく過ごした。喧嘩した時だってあったが、何事もなくまた慈しみあった。病めるときも面倒を押し付けあった。

つまり人並みに幸せだった。


しかしながら、子宝に恵まれなかった。


、、、、、それが災いしたのか。。。。。?。。いや、愛していたのだ。2人きりの空間が好きだった。


子宝に恵まれなくても愛し通せると勘違いしていた。

それは僕の方だけらしかった。


ある年、仕事で大切な上司の前でヘマをしてやらかした。

仕事は減り、給金がなくなった頃、妻はパートへ出ることになった。


何も心配していなかった。


何も世間知らずの女ではなかった彼女は。


だからなのか。


距離が遠くなった理由はおそらくーー彼女の『浮気』だ。


何も心配いらないわ、という顔でウキウキとした彼女を何年も見てきて。

ようやくわかったのだ。

自分以外にも彼女を愛することができる男性が彼女にできたことを。


苛立ちとか怒りよりも哀しさが優った。

ーーーーなにしろ愛していたのだ。ーー幸せならそれでいい。


ここに記しておく。


私は夫としてこれからも彼女を支えると。



しかし限界が来た。



相手の男がおそらく違う職場に移行したのか。


また僕を愛してくれた。


戻ってきた彼女は違う妻になっていた。

悲しかった。


何か虚しさが虚空へと私を導く。


自殺しよう。


ここに記しておく。



私、○○○○○は妻を生涯、愛していたと。




fin.


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