恋心
私は川田美羽.
同じクラスで隣の席の女の子に片想い中.
本人にまっっったく気持ちは届いていないけど.
本当は友達が欲しいくせにうまく話しかけられなくて一人でいるところとか.
本当は私のことなんか嫌いなくせして、一緒にいてくれる存在だから突き放せないところとか.
本当に馬鹿みたいで、意地っ張りで可愛いと思う.
初めて出会った始業式の日から今までほぼ毎日、あの子に[ 付き合ってよ. ]と告白している.
そうするとあの子は少し狼狽えながらも断ってくる.私の告白を買い物への誘いだと思って.
買い物だって友達と行きたいのに.行ってみたいのに.誘ってきたのが私だったから断る意地っ張りなところが本当に可愛い.
可愛すぎて誘拐されないか不安.
そんな私も一応世間一般では可愛い枠に属すらしい.そのお陰でもはや高嶺の花と化しているあの子の隣にいることができている.
それもあってか私は両親にとっても感謝している.
この顔のお陰であの子の隣にいることができているし、この顔のお陰で皆に優しい可愛い女の子という地位につけている.
まぁ、正直あの子がいないとこの可愛い顔も意味をなさなかったと思うと恋ってすごいなと思った.
人は恋をすると変わるというけれど絶対私は悪い意味で変わったと思う.
もともとは両親に言われた[ 人のために尽くしなさい. ]という言葉通り、意味もわからず人助けを行っていた.
それが今ではあの子の視界に入るならと率先して自ら望んで手伝うようになった.
本当に恋ってすごい.
両親には最近私が変わって嬉しいと言われるようになった.前の私ではあり得ないような人助けを自らやっているからだろう.
それもすべてあの子のおかげだよ.と思いながら着々と両親のなかでの私をよい子に作り上げていく.
こうすると多少の悪事は見逃されるだろう.
そう呑気に考えながら今日も毎回恒例の告白をした.
いつものようにあっさり受け流されるかと思いきや、[ いいよ. ]と返ってきた.
唐突のこと過ぎて脳がバグる.
向こうはこの告白の意図に気づいているのだろうか.少し赤く染まった可愛い顔で
[ 付き合うとか余裕. ]
とかっこつけている.そんなところも可愛い!と思いながら、半分現実逃避状態で離れることを告げ、思わず走り出す.
やった!ついにあの子が手に入った.
始業式、いや入学式の頃から喉から手が出るほど欲しかったあの子がやっと手に入った.
嬉しい、その気持ちで脳が満たされていく.
―[ これから一生離さないから、覚悟しててね. ]―
この場にいないあの子へ向けて無意識の思いを口にした.
無自覚に溺れる まほあめ @TerunaNoa
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