第3話 信念は変わらないということ
価値観は変わり続けますが、私たちの内側にはそれとは異なる「信念」というものが存在します。それは、どれほど環境や状況が変わっても、私たちの中心にあり続けるものです。
信念は、人生の羅針盤のようなものだと感じます。価値観が日々の経験や知識によって揺れ動くのに対し、信念はもっと根本的な、生き方や存在意義に直結したものです。たとえば、「人に優しくする」という信念があれば、その表現方法は状況に応じて変わるかもしれません。若い頃は困っている人に手を差し伸べる形で、年を重ねるとその知識や経験を共有する形で表れるかもしれません。しかし、根底にある「優しさを大切にする」という信念そのものは変わりません。
私自身、価値観が揺れ動く中で、信念の存在を何度も実感してきました。たとえば、かつては「努力は必ず報われる」という価値観を信じていました。しかし、人生の経験を重ねる中で、努力しても報われないこともあるという現実を知りました。最初はその事実を受け入れるのに時間がかかりましたが、そこから「どんな状況でも誠実であることが大切だ」という信念に気づくことができたのです。努力が報われるかどうかは状況次第かもしれませんが、誠実であろうとする信念はどんな時も変わらず、自分を支えてくれるものでした。
信念は、価値観の変化を受け入れるための土台にもなります。新しい価値観が古い価値観と対立した時、私たちは混乱や葛藤を抱えることがあります。しかし、信念という軸があれば、それを基準にして新しい価値観を選び取ることができます。それは、変化の中に安定を見出すための指針のような役割を果たします。
価値観は私たちに柔軟性をもたらし、信念は私たちに強さを与えます。この二つがあるからこそ、私たちは変化を恐れずに新しい世界へ踏み出すことができるのです。そして、価値観が変化する中でも信念を持ち続けることで、私たちは自分自身を見失うことなく、成長を続けることができます。
これまでのエッセイを通じて、変化する価値観と揺るぎない信念について考察してきました。最後に、変化を受け入れながらも信念を大切にすることの意味を胸に刻み、日々の選択を楽しんでいきたいと思います。信念という羅針盤を手に、私たちはどんな未来にも進んでいけるのです。
感覚と価値観は常に変わり続ける 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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