価値観が変わる瞬間には、必ず何かしらの出来事があります。それは大きな出来事かもしれませんし、日常の些細な気づきかもしれません。どちらにせよ、私たちはその変化を通じて成長しています。

例えば、かつて私は「成功＝他人に認められること」だと考えていました。学校では成績、職場では業績、それが評価されることが重要で、周囲の期待に応えることが自分の価値だと思っていたのです。しかし、ある時期に体調を崩したことで、自分の時間を振り返るきっかけが生まれました。その時、「健康であること」「自分らしく生きること」が何よりも大切だと気づきました。それまでの価値観が変わる瞬間は戸惑いを伴いますが、同時に自分を再発見する機会でもあります。

価値観の変化は、多くの場合、人生の転機と結びついています。転職、結婚、出産、引っ越しなど、新しい環境に身を置くと、これまで当たり前だったことが通用しなくなることがあります。以前は「お金を稼ぐこと」が最優先だった人が、家族を持つことで「時間を共有すること」の大切さに気づくようになることもあるでしょう。また、異文化に触れることで、それまでの常識が実は一面的なものだったと気づくこともあります。こうした価値観の変化を否定的に捉える必要はありません。それは、私たちが柔軟である証拠であり、新たな可能性を受け入れているサインなのです。

変化を受け入れることで、私たちは新しい選択肢に目を向けられるようになります。同じ価値観に固執していたら気づけなかった世界が広がります。そして、その過程で生まれる葛藤や疑問こそが、私たちを成長させてくれるのです。

価値観の変化は、必ずしも以前の自分を否定するものではありません。むしろ、それは「その時の自分に最適な考え方だった」と認めた上で、新しい価値観を取り入れるプロセスです。それが私たちの生き方を豊かにし、新たな未来を切り開いていく鍵となります。

次回、第3話では、「変化し続ける価値観」と「変わらない信念」の違いについて探っていきます。変わり続けるものの中に、どのような不変の軸が存在しているのでしょうか？その答えを見つけに行きましょう。