感覚と価値観は常に変わり続ける

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 変わる感覚、揺れる価値観

日常の中で私たちは、無意識のうちにたくさんの情報を受け取り、経験を重ねています。その一つひとつが感覚を刺激し、価値観を少しずつ変えていることに気づいているでしょうか。


子どもの頃、私は甘いものが何よりも好きでした。チョコレートやケーキを見ると心が躍り、それを食べられる日は特別な日でした。しかし、大人になるにつれ、甘さよりもほろ苦いコーヒーや渋みのある緑茶に惹かれるようになりました。この変化は単なる味覚の問題ではなく、そこに付随する体験や価値観が影響しています。子どもの頃の甘さは「楽しさ」や「喜び」を象徴していましたが、大人になった私にとっての苦みは「成熟」や「深み」を象徴するようになったのです。


環境の変化も大きな影響を与えます。都会で暮らしていた時は、効率や便利さを最優先にしていました。時間を無駄にしないことが大切で、予定通りに物事が進むことが「良い」と感じていました。しかし、田舎に引っ越してからは、自然の中で過ごす時間や、ゆっくりとした生活リズムに価値を見出すようになりました。同じ私でも、場所や環境が変わるだけで感じ方や価値観が大きく変わるのです。


こうした変化は「ぶれている」わけではありません。それはむしろ、私たちが環境に適応し、新たな状況を受け入れながら成長している証拠です。何か新しいものを経験すれば、それまでの考え方や感じ方が少し変わるのは自然なこと。変わることを恐れる必要はなく、それを「変化」と呼ぶのではなく「進化」と捉えてみてはどうでしょうか。


次回、第2話では、こうした価値観の変化がいかに成長の一部であるかを深掘りしていきます。変化は時に戸惑いを生むものですが、それが私たちをどのように導いてくれるのか、一緒に探ってみましょう。

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