第3話 そして入店へ…
SMバーへ遊びに行ってからすっかりその魅力にハマった私。
黒や赤のエナメルに身を包む綺麗な女王様達。
素顔がわからないほどの濃いメイクが強さと美しさを際立たせている。
ああ、素敵。
どんな仕事にも興味を持てず、ただ労働は生活をしていくための手段だと思っていた私が、どうしても働きたい!と思ったのは何ともアングラな業界だった。
面接をしてから、採用までは驚くほどトントン拍子に進んだ。
普段の生活では男性に敬遠されがちな、平均より少し高めの身長は、この業界では需要が多いと、面接をしてくれたお店のママさんが教えてくれた。
赤を基調とした店内はカウンターが数席と、奥はこじんまりとしたテーブル席。
カウンターの内側に並ぶキープボトルと薄暗い照明は一見よくあるバーのようだが、壁に吊るされた数種類の鞭や赤い縄、その隣には見た目より滑らかな手触りの麻縄。
要所要所にオブジェのように飾られているSMの道具と、カウンターの中で艶っぽく微笑むボンテージの女王様が非日常な空間を醸し出す。
今日からここが、私の職場。
ミストレスバーMに足を踏み入れ、SMから風俗業界にどっぷり沼った数年間のはじまりはじまり。
ミストレスバーMに在籍している女王様は5名ほどで、シフト制で毎回3名ほどがお店に立つ。
普段からずっと女王様然としているわけではなく、ボンテージは着てるけど気さくな雰囲気の人も多い。
あとは毎日オープンラストでフル出勤のボーイさんと、不定期でお店に顔を出すオーナーであるママさん。
ドリンクを作ったりお会計をしてくれるのはボーイさんで、女王様は基本的にはボトルのお酒じゃなく専用のカクテルを飲む。
勿論お客さん持ちでドリンクバックもあり、システムはよくあるキャバクラみたいな感じだけど、一番の違いは急に始まるするプチSMプレイだ。
両方の乳首をずっしり重いチェーンで繋ぎ、バレないようにとブラジャーをつけてその上に肌着を着ていたサラリーマンのお客さん。
1日中チェーンの重みを感じていた乳首は、ジンジンと強い痺れで感覚が麻痺していると話していた。
ワイシャツをはだけさせ、シャツを捲りあげ、まるで一昔前の医者の診察のように上半身をR女王様に曝け出す。
「ふふっ。命令通り、1日よく我慢したね」
カウンター越しにR女王様にチェーンをピンと弾かれるだけで「はうぅん」と切ない声をあげて腰が引けている。
「Rさんの命令でチェーンつけてたの?」
との私の問いに応えたのはRさん。
「そぉよー。私、乳首の大きなM男ちゃんが大好きなの」
茶目っ気たっぷりに笑う小悪魔的なRさんに、メロメロのお客さん。
「はひぃ…Rちゃん好みのM男になれるようしっかり乳首を育てますぅ」
「チェーン、外してみて?」
いそいそと乳首を挟んでいるクリップを取ると、クリップの形に横にぺったんこに潰れている。
細く形の良い爪が、それをもとに戻すかのようにぎゅっと縦に摘む。
「いいーーーー!」
奇声をあげて飛び上がるお客さん。
「あははは!可愛い〜!ねぇ、勃起してるでしょ?」
勃起!?
ジンジンに痺れてると言ってた乳首を摘まれて!?
もし自分に置き換えたとして…ジンジン痺れた足を誰かに思い切り掴まれたとして。
少し痺れが取れ始めた頃のあの一番触って欲しくない感覚を思い出す。
そんなことされたら一生恨
が、椅子から降りて見せてくれたのはズボンの上からでも分かる膨らみ!
勃起するの!?それ!!
SMバーの駆け出し女王様。
アングラな業界を一通り楽しんだ後、
私は風俗店の受付として勤務するようになるのだが、それはまた別のお話。
好奇心旺盛な私のアングラ体験記 リョウコ @juza0923
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