第2話 SMバーへGO!

SMバーってどんなイメージがありますか?

赤と黒のコントラストが卑猥でエロティックに感じる店内。

手枷足枷がついた磔台は実際に使用するのかしないのか…。扉をあけるとボンテージを着た綺麗なお姉さんが出迎えてくれる。

私の中ではそんなイメージでした。


思い切って変態バーへ行ってみて、興奮冷めやらぬまま今度はSMバーをネット検索していた私…達。

なんと、微妙な表情をしていた友達も今度は乗り気だ。

なんやかんやで楽しかったのだろう。

私達が暮らしている田舎ではお目にかかれない世界だから。

一言でSMバーと言っても店によって色んな特色がある。

SMのショーを開催していたり、店内でプレイが出来たり。

当時はそんなお店がたくさんあったが、どこにも共通していたのが、ボンテージを着た女の人がいるってこと。


これも実は私の目的の一つだったりした。

SMっていじめる側といじめられる側の人がいて、鞭やろうそくで痛いことをしてるってことくらいしか知識もなかったしあまり興味もなかったのだけど。

当時の彼の部屋で見つけた分厚い風俗雑誌のSMのページで見つけたボンテージ姿の女王様にくぎ付けになってしまったのだ。

前回の変態バーは私の独断だったが、SMバーは友達と二人で相談しながら選んだ。

私達がSMバーデビューに決めたのは、有名な歓楽街の一画に構える店。

老舗ではなく、比較的新しく出来た店の一つだ。

店内は思ったよりも広くて、バーカウンターの内側には私のお目当てのボンテージ姿の綺麗な女性と、下着のようなコスプレ衣装を着た可愛らしい女性。

女王様!というよりは、普通の綺麗な女性がボンテージを着ているという感じだ。

シンプルでスタイリッシュな店内は白を基調に纏められているが、所々にディスプレイされた色んな種類の鞭や拘束具がここはSMバーなのだと主張しているように見える。

せっかくなので、開店直後に店へと突撃した私達。

この日のこの店に決めたのは理由があった。

店内には既に女性が一人、カウンターに座っていた。

その近くの席へ案内される私と友達。

おとなしそうなお嬢さん風な女性は忙しなく辺りを見回している。

「こういうお店って初めてですか?」

思い切って声をかけてみると、「そうなんです…緊張しちゃって」と笑って返してくれた。

「私達も初めてなんです。同じですね」

と、友達と3人で笑う。

私達、客同士で話しているからか、スタッフの女性達はオーダーだけ聞くとこちらを気にせずカウンターの中で何やら忙しくしていた。

「実は…私ここに来たのは彼に言われたからなんです」

「彼…って付き合っている人に言われて?」

「そう。彼というか、ご主人様というか…」

ご主人様!!!

要するに、彼女はSMのパートナーに言われて店に来たのだ。

目的は、わかってしまった。

「もしかして…ピアス?」

そう。友達が決めたこの店で、私が日にちを決めた理由。

この日、ピアッシングのイベントをしていたからだ。

徐々に込み合ってくる店内。私達が座るカウンターの席も埋まってきた。

ピアスを開けにきたという女性とそのまま何となく三人で話していると、近くに座ったダンディーな中年男性も会話にくわわってきた。

どうやら普段店内で本格的なSMのプレイをすることはほぼなく、興味がある人へ鞭でスパンキングや縛りなどを体験したり、自分の趣向や性癖について語ったりすることが多いという。

そして、その男性は女性を縛るのが趣味だと話した。

縛らせてほしいとか言われたわけではないが、縛り方に興味津津だった私。

これはもう乗っかるしかないでしょう!!

こしょこしょっと友達にお願いしてみる。

ちょっと、縛られてみて!と。

せっかく小声でお願いしたのに、友達は「ええーーー!?私が!?」と大きな声を出した。

不思議な顔をしている男性に

「あの、もしもいいなら縛ってもらえませんか!?」

「え?君を?」

「いえ、彼女で!」

と、友達を差し出す。

私が見たいのは縛り方だし、貧乳の私より色白Fカップ美人の友達の方が絶対綺麗!というかエロい!

「い、いいの?友達はこう言ってるけど…」と苦笑いの男性と「は、はぁ…」と同じく苦笑いの友達。

面白がって聞いていたカウンターの女性スタッフが店にあった赤いロープを貸してくれた。

友達と触らせてもらうと、想像よりも軟らかい。

(勿論)服を着たままの友達の両手を後ろに回し手首にしゅるっとロープをかけ、そのまま二の腕から身体にくるりとロープをかけていく。

高手小手という縛り方だと教えてくれた。

おっぱいが大きいとこの縛り方がとても綺麗なんだとか。


私にもわかりやすい様にゆっくり説明しながら教えてくれる男性。

簡単な縛り方みたいなのをネットで見たことはあるが、絵だとややこしかった部分も実演してもらえるとわかりやすい。

そういえば、本で見る折り紙の折り方はなかなか難しかった。それと同じか。

友達はというと、「いやーーーーん」「きゃあーん」普段からこんな感じなので今も意識はしていないのだろうが、要所要所で男性が少し力を入れてロープを締め上げるたびに声が出ている。

出来あがりはおっぱいの上と下と真ん中にロープがかかっていてぎゅっと押さえられているのですっごく強調されており、めっちゃエロい!

そして何より何重かに回されたロープが重なったりねじれたりしておらず美しかった。

「ちょっと!うちの店の誰よりもエロかわいい!!」とカウンターの中の女性も大興奮で友達は店内の注目の的に。

「…このままにしとく?飲み物は飲ませてあげるから」という私の申し出は「苦しいから早くほどいて!!」と即却下された。

そうして店に馴染んできた頃に、店の奥からミニスカナースのコスチュームを着たお姉さんが上半身裸の細身のイケメンを連れて出てきた。

彼女が本当にナースなのかはわからないし唐突な始まりだけど、いよいよピアッシングが始まるのだとドキドキした。

カウンターとボックス席の中間辺りで二人は止まり、やらしく彼の身体を撫でたり乳首を摘まんだり、何ともエロティック。

イケメンの恍惚とした顔は目の保養になるなーなんて、趣旨を忘れて見入っていると、笑顔のお姉さんが小さなバッグから太い針のようなもの(ニードル)を出してきた。

それを見たイケメンから先程のうっとりした表情は消え怯えながらも観念した、という雰囲気。

更に照明を落とした薄暗い店内でBGMは流れているものの、言葉は一切交わされずゆっくりとイケメンのヘソから上を向いてニードルが埋まっていく。

ぐーりぐーりと動かしながらじっくりとヘソの上の肉を貫通していき、「あああああ!」悲鳴を上げるイケメン。

イケメンの口にお姉さんが指を入れると、舌を絡ませて吸いつく。

単にピアスの穴を開けているんじゃない。

その様子は、まさにショーだった。


イケメンのヘソにきらりと光るシンプルなピアスがつけられ、ショーは終わり。

先程のエロティックで静まり返った雰囲気が嘘みたいに賑やかになる。

ミニスカナースがこっちへ来て、ご主人様に言われて来たと言っていた女性に声をかける。

「ネットの掲示板で連絡くれていたよねー。サクッと開けちゃおうか」

さっきのショーを思い出してヒヤヒヤしていると私の考えがわかったのか、「さっきのは見せるためやからね。痛くなくするから」と笑った。

「お願いします…」

と、ピアスを開けてもらう女性…なんと上半身裸に!!

ナースは平然としているから打ち合わせ?通りなのだろう。

突然のことにドギマギしているのは私と友達だけで、周りは別に特別凝視しているわけでもないので珍しくないことなのかもしれない。


どうやらピアスを開けるのは乳首らしい…。

長い針をすーっと器用に乳首に貫通させる。女性は少し震えながら目を閉じていた。

あっという間に両方の乳首に可愛らしい輪っかのピアスがつき、女性は嬉しそうに帰って行った。

早速ご主人様に報告をするのだろうか。

無類の痛がりの私には考えられないけど。

初めてのSMバー、いかにも!って女王様には出会えなかったけれど、可愛いボンテージ姿もイケメンのエロいショーも見れたしなかなか楽しかった。

手首に薄ら残ったロープのあとを気にしていた友達に 「今度はいかにもSM!ってお店に行こ!」と言うと、

「もう縛られるのは嫌やからね」と睨まれた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る