まず、文章がかっこいいなと感じました。そして、重厚感のあるハードボイルドSFな世界観に引き込まれ、頭にスッと入ってくる情景と心理描写の巧さに加えて、優れた登場キャラクターの造形も重なり、夢中になって読みました。重厚な作品でありながら、最後に味わえるのは、スッキリとした爽快感です。私は、この作品に☆を5つ付けられたなら、迷わず5つ付けます。
非常に重厚なハードボイルドSFです。ミステリー要素もあり、絡み合った事象の謎が解かれていく様は爽快です。『ダイバー』というタイトルも、ちゃんと伏線の一つとなっており、『そういう事か!』と思わず膝を打ちました。また、喫煙描写がカッコいい!これだけでハードボイルドものとしては名作確定ではないでしょうか。
ラーメンに始まり、武器や服や香水や……頭の中のイメージを膨らませる文言を短編の中にこんなにも詰められるのが羨ましく思いました。お話の内容もおやおや!と興味を引かせて、最後にあぁなるぼど、と思わせてくれるもののように感じました。
どうなるのだろうと思いながら読み進めると、そういうことかと腑に落ちます。ぜひ、最後まで読んで、この爽快感を味わってほしいです。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(110文字)
美桜の複雑な心情と切実な欲望がリアルに描かれており、物語に引き込まれました。デリヘルでのアルバイトという過酷な状況の中で、自分の欲望を追い求める彼女の姿が切なくも力強いです。一方で、彼女を助けた謎の男『ダイバー』の登場により、物語はスリルとミステリーを帯び始めます。彼の正体や美桜との関係がどう展開するのか、一瞬たりとも目が離せません。欲望と救済、そして危険が交錯するストーリーに引き込まれること間違いなしです!
イメージしやすくテンポも良かったです。一気に読み終えました。最後に設定が解放されましたが、ありそうな未来で怖いです。映画の要約みたいにまとまった感じが読みやすかったですが、この設定なら長編やシリーズで楽しめそうでした。久しぶりのハードボイルド作品となりました。ご馳走様でした。